北朝鮮が銀河3号打ち上げの映像を公開

2012.12.13
修正 2012.12.16 11:28


 FNN系ニュースが、北朝鮮が公開した銀河3号打ち上げの映像を報じ、これについて軍事評論家・岡部 いさく氏のコメントを紹介しています。

 岡部氏はこう述べました。「打ち上げのときのミサイルの噴射口が注目ですよね。よく見ると、このミサイルの噴射を板でコントロールする方式を取っている。これは第1段目が成功した2009年のときと同じなんです。失敗に終わったことし(2012年)の4月とは明らかに違ってますね。つまり北朝鮮は、その手堅い方式に戻して、確実な成功を狙ってたんじゃないでしょうか。」。

 上の部分について、当初、私は岡部氏の論評に対して反論を書きましたが、私の認識違いがあることが分かったので、訂正します。文章を書いている内に、元々あった誤解に勘違いが加わって、事実誤認を含んだ、混乱した文章を書いてしまいました。ここにお詫びにして、訂正します。

 岡部氏が言うとおり、テポドン2号(銀河3号)の1段機体のエンジン制御はジェットベーン方式です。それよりも上の機体はジンバルなどの方式が採用されています。今年4月の打ち上げ前に北朝鮮が公開したテポドン2号の映像では、ジェットベーンがみられないことから、別の制御方式(ジンバルやバーニヤ方式)を採用したと思われるのですが、この試みは失敗に終わりました。今年4月のはっきりした写真(写真はこちら)、と今回の打ち上げの写真(写真はこちら)を見つけました(その他の写真はこちら)。これを見ると、4月の機体にはジェットベーンが見当たらず、発射台と機体の間隔は、ジェットベーンがある場合の機体よりも狭いのです。つまり、岡部氏の指摘は妥当だったのです。

2009年4月
2012年12月

 私が気になったのは、4月の時よりも機体が太くなったように見えることです。これは映像の映り加減とか、複数のモニタを組み合わせて作られた映像であることから、そのように見えているだけかもしれません。

 それから、噴射炎に黒煙が減ったことから、燃料を上質のものに変えた可能性があります。上昇するための加速もスムーズで、これは前回の失敗を改良して、燃焼の程度を調整したのだと思われます。

 各メディアは北朝鮮が撹乱戦術をとったと報じていますが、私はその事実はないと考えています。要するに、観測されたことの解釈を我々が間違えただけです。

 JNNが、発射前日の11日午後、アメリカの偵察衛星が、黒い幕に覆われた発射台の近くに筒状のものを載せたトレーラーが複数集まっているのを確認していたと報じています。これが1段機体が移動されたという説の根拠になったのですが、アメリカの情報筋の一部は「発射台にはミサイルは立っている。近日中に発射する可能性がある」と考え、それは日本にも伝えられていたといいます。この状況の分析を間違えたことは疑いようがありません。トレーラーが複数あったのは、取り外した3段機体を一時的に保管するための車と、3段機体を運んできた車がいたためかも知れません。私はまだその写真を見ていないので、これは記事だけを根拠にした推測です。

 軍事情報は、科学的研究と違い、状況証拠だけで判断することが多いものです。言うまでもなく、状況証拠だけでの判断には誤りがつきものなのです。1段機体にも問題が起こり、3段機体も交換する必要があったというのが、現段階では妥当な解釈です。



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