military.comによれば、アメリカはトルコのペトリオットミサイル2個中隊と400人の兵士を派遣します。
レオン・パネッタ国防長官(Defense Secretary Leon Panetta)は、アフガニスタンからトルコの非公開の場所へミサイルを操作する400人の米兵を派遣する命令に署名しました。
ドイツとオランダはすでに米国製防空システム2個中隊を提供することに合意し、ドイツが400人、オランダが360人の兵士を派遣することに合意し、トルコのために予定するペトリオットミサイル部隊の総計を6個にしました。ドイツ議会は正式に金曜日に派遣を承認することになっています。NATO軍外務大臣は11月30日にトルコの要請を支持しました。
インシルリク空軍基地(Incirlik Air Base・kmzファイルはこちら)で、空軍のメンバーはパネッタ長官に、シリアが生物化学兵器を反政府派に対して使ったら、アメリカは何をするつもりかを尋ねました。パネッタ長官は公の場では明言しませんでしたが、「米国諜報組織がシリアがそうした兵器を使おうとすることを示す事態において、オバマ大統領にオプションを提供する計画を作っている」と言いました。シリアが「マイナスの反応」をしないかと別の空軍幹部に尋ねられると長官は、シリアの指導者たちは権力に留まるために奮闘しているので、「私は彼らに(ペトリオットについて)心配する時間があるとは考えません」と言いました。
別にNATO軍は空中警戒管制機(AWACS)を今月、演習のために派遣することになっていると、匿名のNATO当局者は言いました。彼は演習がミサイル配備と関係ないと言いました。地対地ミサイルの発射を探知するこの航空機は、指揮統制手順を訓練し、様々なNATO軍とトルコ軍の通信接続とデータ共有システムを試すことになっています。
記事は一部を紹介しました。
先の報道では、米軍とオランダ軍を合わせて400人という話でしたが、各国が400人近い人数を出すようです。(過去の記事はこちら)
米軍のペイトリオットミサイル大隊は4個砲兵中隊で約600人です。2個中隊に支援部隊をつけて約400人という計算です。1個中隊にはミサイル発射機が6機あり、多くの国も似た機数で編成しています。各国とも12機、3ヶ国で36機を提供すると考えてよいでしょう。トルコとシリアの国境は地中海までで直線で約800km、さらにトルコにはその西にも領土があります。主にシリアに接している付近に防衛網を張るのでしょうから、約800kmを防衛するとして、36機なら1機が22kmを担当することになります。PAC-3の対弾道弾射程は20kmです。インシルリク空軍基地はこの防衛線の西端に位置しており、主にトルコ軍基地の用地を利用して、分散配備されるものと考えられます。
AWACSはペトリオットミサイルの配備と無関係とはいうものの、大いに関係があるように思われます。
日本の北朝鮮ミサイル対策と違い、このミサイル配備は現実的です。それでも、シリアがトルコに向けて弾道ミサイルを打ち込む可能性は少なく、目の前にある脅威とまでは言えません。なぜなら、ミサイルがトルコ領内に着弾すれば、それはトルコ陸軍は地上軍をシリア国内に進撃させ、シリア政府の息の根を断つしか選択肢がなくなるからです。それはシリア政府にとって、悪夢の光景です。防衛網を張ることで、万一の危険を断ち、シリアに警告を送るのが、この配備の目的です。迎撃する可能性がほとんどないのに配備を行った日本とは内容が違います。