シリア軍がホムス中心部を奪還

2012.12.31


 BBCによれば、数日間の激戦の後、シリア軍がホムスの中心部にあるデア・バルベイ地区(Deir Baalbeh district・kmzファイルはこちら)から反政府派を撤退させました。

 ある人道活動家グループは、戦いの後で200人以上の民間人が政府軍に殺されたと言いますが、主張は独自に確認されていません。土曜日のシリア全土の死者は約400人でした。地域調整委員会によると、デア・バルベイ地区の住民は集められて、彼らが処刑された石油化学工場に行かされました。死者の中には女性と子供がいました。人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights」は死者を記録するためにデア・バルベイ地区へ行くことはできませんでした。

 alarabiya.netによると、バシャル・アル・アサド大統領(President Bashar al-Assad)は暗殺を恐れ、毎晩違う寝室で眠り、食べ物の用意を制限しています。

 最後に出演したテレビで、シリア国内で「生き、そして死ぬ」と言ったシリアの大統領は現在、家族と信頼できる顧問たちとだけに接触を制限しています。ワシントンポストはアメリカと中東の当局者が言ったと報じました。

 アサド大統領は毎晩違う寝室で眠り、日中は戸外へ行かず、狙撃兵やその他の攻撃を受けることを恐れ、大統領が極めて安全に油断をなくなっている徴候を示します。匿名の中東の当局者はワシントンポストに、彼の行動は恒常的に恐怖状態にあることを示すと言いました。


 記事はごく一部を紹介しました。

 デア・バルベイ地区の範囲は正確に分かりませんでした。Wikimapiaではこの付近は「アル・ハミディヤ(al-Hamidiyah)」と呼ばれています。 中心部から少し北にある地域です。

 反政府派がどういう作戦を行ったのかはまったく書かれていません。数日前に反政府派が侵入して政府軍と戦ったのか、数ヶ月も占領し続けていたところに政府軍が侵攻したのかは不明です。地元の反政府派なのか、北部から来た者たちなのかも気になります。本格的な侵攻作戦だったのか、偵察目的だったのかも分かりません。すでにホムスで大きな戦闘が起きていることの方が驚きでした。

 BBCは処刑は未確認としながらも、今朝のテレビニュースでは6人の男性が処刑された映像を公開しています。未確認というのは、BBCの記者が直接見たわけではないということですから、この信憑性は高いと言えます。

 アサド大統領の近況は想像の通りです。暗殺を恐れ、戦々恐々としている日々でしょう。いつまで神経が持つのかは、彼も分かっていないでしょう。この人は最後まで名誉を守り通そうとするかも知れません。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.