ソマリアでアル・シャバブとアルカイダが合併
military.comによれば、ソマリアの首都、モガディシュ(Mogadishu)の郊外で何百人ものソマリア人が、アル・シャバブ(al-Shabab)とアルカイダ(al-Qaida)の合併を支持するため武装勢力が組織したデモ行進を行いました。
アル・シャバブの広報官、アリ・モハムッド・レージ(Ali Mohamud Rage)は、月曜日の集会に集まった者たちは、アルカイダの指導者、アイマン・アル・ザワヒリ(Ayman al-Zawahri)が先週発表した合併、アルカイダとの統一を喜んでいると言いました。数百人が集会に集まり、ベールを被った女性と武装して,覆面をした男性がいました。レージはソマリアに関するロンドンで行われる国際会議はソマリアを植民地化しようとしているとも言いました。
ソマリアには20年以上、完全に機能する政府がなく、ウガンダ、ブルンジ、エチオピア、ケニアの軍隊がアル・シャバブに三方向から圧力を加えています。
以前からソマリアにはアルカイダが浸透し、アル・シャバブと共同していることは知られていましたが、遂に公式発表に至ったわけです。
しかし、アルカイダの目標は中東から北アフリカと西アジアにかけてイスラム帝国を建設することで、ソマリアに戦略のポイントを置くことは、最初の目標からずれているように思われます。元々、アルカイダは戦略に適った戦いをしていた訳ではなく、それを考えると,この選択も不思議ではありません。世界貿易センターと国防総省への攻撃も、アメリカの強い反撃を招くことを考えると、意味があったとは思えません。これは、反米イスラム勢力に対するアピールにはなっても、西欧的な軍事戦略の考え方からすると、軍事的に意義がある攻撃とは言えないのです。
現実的ではなくても思念があるところに共感を呼び起こすのがイスラム式の戦い方なのかも知れませんが、アルカイダが目標とするような広大な地域に国家を建設するための軍事行動としては現実的ではありません。それを自然に感じさせるのが宗教のマジックかも知れませんが、軍事的にどうかと問われると疑問でしかありません。
悪くいうと、アルカイダはできることを,できる範囲でやっているだけです。これでは何百年活動しても目標を達成することはないでしょう。なぜ、元々の国家建設予定地域での活動を活発化させないのでしょうか。
米軍にとっては、これまでほとんど活動の地ではなかったアフリカでの活動が増えることになり、これは逆に米軍を活気づかせます。これまでの失敗を挽回する格好の機会ですし、新しい装備・戦術の開発という課題ができるからです。こういう新分野が目の前にある時、米軍はご馳走を目の前にした野獣と同じです。大部隊の投入という間違った戦略も、もはや米軍の足かせにはなりません。
さらに、各地域で民主化の動きが始まっている点も、アルカイダには障害になります。当初、アルカイダは民主化の動きを「規制政権の崩壊」として歓迎しましたが、この政治的ムーブメントはアルカイダのような急進的政治活動には与しないことが分かっています。
つまり、アルカイダ自身の戦略上の誤り、米軍の戦略転換、世界各地での民主化の3点が、今後のアルカイダの活動を妨げると考えられるわけです。
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