新型スコープが有効射程を2倍に
military.comによれば、次世代の戦場用光学スコープはM4小銃の有効射程を2倍にします。
この夏、国防先端研究計画局(the Defense Advanced Research Projects Agency)は「the Dynamic Image Gunsight Optic: DInGO」の試作品の試験を始める予定です。DInGO計画の目標は平均的な兵士が、射程を推定したり横風を気にせずに、600mまでの距離で敵戦闘員を撃てるようにすることです。陸軍の射撃技術訓練は300mまでの目標と戦うことをに集中しています。M4の5.56mm弾はその距離を超えると大きく落下し始めます。毎時10マイルの横風は5.56mm弾を400mで8インチ以上標的からずらします。精度において風速の読み方とその影響を相殺することは通常、上級射撃技術と狙撃兵の課程でのみ教えられるだけです。
ロッキード・マーティン社は、彼らがDInGOに組み込んでいる技術が訓練の必要性をなくすことを望んでいます。「その中に組み込まれた装置は操作者が狙点の修正をするのを助ける小型レーザーです」とロッキード・マーティン社のレーザーとセンサーの責任者、ジョン・ヴォイナー(John Wojnar)はいました。
DInGOは狙撃分野のために開発されたロッキードの最先端照準システム・テクノロジー「One-Shot」が元になっています。「One-Shot」は弾丸の目標への経路に沿っていくつかのポイントで環境の状態を測定するセンサーに依存します。
しかし、狙撃分野は優秀な射手は、長距離射撃を確実にする点で「One-Shot」よりも効果的かより優秀だと指摘しました。試作品は風速とその他の大気の状態を測定できますが「One-Shot」が風速を計測するほど正確ではないものの、代替の狙点を提供できるとヴォイナーは言いました。
装置は射手が300〜600mの複数の目標と交戦するためにすばやく射程を変更できるようにするデジタルズーム機能を特徴とするとヴォイナーは言いました。それは低出力レーザー距離計で距離を計測し、それにズームすると、射手が手を動かす必要なしに環境の状態を計算します。組み込まれた弾道コンピュータが弾丸の着弾点を代替の狙点と共に投影します。
現在のところ、DInGOが標準の「the Advanced Combat Optical Gunsight」と「Close Combat Optic」に対して取り付け部品としてどう機能するかは不明ですが、標準のピカティニー・レール(Picatinny rail)の上に取り付ける装置です。
最終版のDInGOは単3電池2本で8時間動きます。すべてがうまく行けば、2014年中に実戦配備の準備が整います。実戦配備の必要条件の規模により、DInGOの単価は最高1,000ドルとみられます。
戦闘モードに加え、DInGOは操作員が目標の写真を撮影してネットワークで送ったり、メモリに保存する偵察モード、外部ディスプレイからのビデオ映像に対応し、仮想の設定で練習ができる訓練モードも装備することになっています。
現在、M4小銃に取り付けられている照準器には拡大機能はなく、より狙いやすくするだけです。DInGOは拡大機能がある上に、弾道計算コンピュータがついています。すべての歩兵が狙撃兵並みに長距離射撃をできるようになるわけです。
射程300m未満ならば、スコープを使う射撃はむしろ勘が必要です。もし、発砲して着弾点が照準器の中心からずれているようなら、反対方向に狙点をずらすといったことをやります。しかし、もっと大きな射程では弾道の変化も大きくなり、榴弾砲や迫撃砲みたいに、計算で着弾点を計算する必要が出てきます。狙撃用コンピュータは発射地点と目標の標高差や気圧、風速などを入力することで、射手に修正した狙点を与えます。射手は特に考えることなく、コンピュータが狙えと言った場所を撃つだけです。
その一方で、この装備品は補給品の重量を増やします。1回の任務で単3電池2本を使い切るなら、予備をもう一組は持っていきたいところですし、基地には電池の在庫が大量に必要になります。「Close Combat Optic」は機種により単1電池1本で50,000〜80,000時間といわれますから、いかに電気を使うかが分かります。装備が整った基地なら充電式の電池も使えるかも知れませんが、電力が乏しいか、まったくない前哨基地では乾電池の方が確実です。単3電池は軽いようでも、兵士全員の分が必要となると、かなりの量になるでしょう。ハイテク装備の軍隊はこうした増え続ける補給の問題を抱えています。前哨基地から撤退する場合、米軍は乾電池を地面に埋めてしまうでしょうから、環境にとってもあまりよくないことが起こりそうです。
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