ベイルズの弁護士が軍が「証拠隠し」と非難

2012.4.2


 military.comによれば、ロバート・ベイルズ2等軍曹(Staff Sgt. Robert Bales)の弁護士、ジョン・ヘンリー・(John Henry Browne)が軍が証拠を隠していると批判しました。

 ブラウン弁護士は、アフガニスタンにいる弁護団が病院で目撃者に会おうとしましたが、あとで彼らが退院したことに気がついたと言いました。彼はベイルズを弁護する弁護士たちに書類を渡していないとも言いました。弁護団は声明の中で、検察官は情報を差し控え、潜在的な目撃者を散逸させていると言いました。

 「法外なことです」「彼らが本質的にやっているのは、証拠隠しです。証拠を隠す唯一の理由は、証拠を持っていない場合です」とブラウンは言いました。軍広報官はブラウン弁護士の訴えにコメントしませんでした。

 弁護団の声明は、カンダハルの病院で治療中の負傷者に会おうとしましたが、面会を拒否され、検察官と調整するよう言われたと言いました。検察官たちは民間人に面会しましたが、弁護団は退院した人たちには面会できず、彼らに接触するための情報を与えられていません。ブラウン弁護士のチームは民間人の医療記録、事件当夜のベイルズを写した監視ビデオへのアクセスを拒否されたとも言いました。

 2010年にアフガンの民間人3人を殺した米兵4人を弁護したダン・コンウェイ弁護士(Dan Conway)は、この時点で政府は何も悪いことをしているようには見えないと言いました。彼は検察官たちはすぐに多少の証拠を引き渡す義務はあるものの、初期に面会を設定する必要はないと言いました。

 弁護士は裁判に出る目撃者には面会する権利があり、陸軍は弁護団を警護をつけて村へ連れて行ったり、目撃者を基地へ連れてくるよう調整するかも知れません。しかし、コンウェイ弁護士は現在の尋問の異議申し立ては、事件を打開するために目撃者を追求できないかもしれないことを意味すると言いました。目撃者はベイルズを特定できず、射手が2人いたと信じていたりします。

 「彼らが目撃者と話したいなら、調査員を見つけ、恐らくは村へ行き、民間人本人と話さなければなりません」とコンウェイは言いました。


 これは弁護団と検察団の鞘当てみたいなものです。弁護団は早く証拠に目を通したいので催促しているだけです。

 米軍の裁判は、できる限り証拠を調べるのが基本原則で、このことは条文にも明記されています。だから、最終的には弁護団にも十分な証拠が提供されます。

 今回の異議は、弁護団が事実関係を争う考えであることを示します。しかし、目撃者がベイルズの顔を見ていないことは決定的な証拠にはなりません。基地の指揮官が「点呼をとったらベイルズだけがいなかった」と証言すれば、これは強力な証拠になります。タリバンが米兵を犯罪者にするために、米軍の軍服を着て殺人を行ったとは考えにくいものがあります。タリバンは犯罪者には手厳しいものの、無辜の民を殺すのは彼らの行動規範に反します。

 裁判で証人になりそうなのは、基地指揮官、ベイルズを拘束した部隊の指揮官、犠牲者などの村民、犯罪捜査部の鑑識員などです。その他、ベイルズの精神鑑定が決まればそれを担当した医官が証言するでしょう。



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