銀河3号打ち上げ準備に関するレポート

2012.4.8


 38north.orgによれば、4月4日に撮影された衛星写真は、銀河3号の1段機体は見えないものの、すでに発射台に据え付けられたことを示します。

 予定通りなら1段機体は1〜2日に、2段機体と3段機体は続く2日間に発射台に据え付けられなければなりません。1〜3日の発射基地の上の雲は進展を観察することを不可能にしました。4日の写真は、発射台の足場が覆われて、閉じていることを示しました。これは作業が内部で続いているおとを示しますが、発射台上の銀河3号やその一部かどうかを断定することを不可能にしています。さらに足場は天候から保護するためにもキャンバスがかけられています。3月28日に撮影された衛星写真は足場が開放されており、機体がないことを明らかにしました。

 発射が間近であることを示す証拠が少しあります。先週観察された給油活動は完了したようです。大部分の燃料と酸化剤のタンクは1段機体に給油する建物から取り除かれたようです。西側から入る唯一の道路に検問所が設けられたようです。この検問所は3月28日の写真には見られません。発射台そのものが清掃され、以前に付近にあった物体が取り除かれました。発射台南側に隣接するむき出しの部分も完成し、炎が給油用建物に届く可能性を減らすために茂みが刈り取られました。おそらくロケットの噴煙の浸食を減らすために、コンクリート製の火炎を逃がす溝に至る土の層も拡げられたようです。

 他にも発射に関する活動があります。

 3月28日〜4月4日の間に、水平・垂直の組立工場にある地面剥き出しの駐車場がアスファルト舗装されたか油が撒かれました。これは金正恩と外国からの賓客が打ち上げを観察するために訪問するための準備かも知れません。クレーンが水平組立工場前へ移動され、車両4台が施設入り口の道路上にあります。クレーンの目的は不明です。建物の駐車場の北東部にあった、レーダー用かSATCOM(衛星通信)用のアンテナである、2mのパラボラアンテナを搭載しトレーラーが移動しました。トレーラーの新しい位置は不明です。以前の解析で見つかった新しい施設基地で、施設近くの道路上に白いバス1台があり、施設内に数台の車両が駐車しています。道路の突き当たりにある小さな建物は明るいオレンジ色に塗装され、パラボラアンテナのトレーラーが3月7日〜28日の間に駐車して以来、最初の大きな活動が見られました。

 38north.orgの別の記事によれば、予想される打ち上げまでのスケジュールは次のとおりです。

 8〜10日は組み立てが続き、11日に燃料が機体に注入され、最終的なチェックが行われます。12〜16日には発射時限を迎え、金正恩が発射場に到着し、打ち上げの日には、来賓が打ち上げの1時間前、作業用足場がすべて取り除かれる前に到着します。

 なお、JNNによると、渡辺周防衛副大臣は7日、石垣島などに配備された地対空ミサイル=PAC-3の部隊を視察し、「いろんなデータ等を見ると、それなりの命中率としては8割を超えるというものを確信してますので」と述べました。


 最初の記事に関する写真は公表された直後に削除され、現在は見られないようです。残念ながら、文中にあることを写真で確認することはできません。文面を見る限り、打ち上げのための最終的準備であるのは間違いがありません。しかし、今になって茂みを刈ったり、噴射炎を逃がす穴周辺を拡げたり、駐車場を整備したりという点は、この施設が最小限度のものでしかないことを示しています。こういう問題点はまったく報じられず、視聴者の中には、この施設が最新技術で溢れているような印象を受けた人がいるかも知れません。

 私が見たテレビニュースでは渡辺副大臣は「アメリカなどの文献を見ると」と述べていました。要するに、アメリカでのテストのデータを防衛省から見せられたということでしょう。こうしたデータの信憑性に疑問があることは以前から指摘されてきたところです。簡単に命中できる条件でテストしたかどうかを検討した上で8割の命中率なら問題ありませんが、それに関するコメントはなかったようです。民主党は、ほとんど起こらない迎撃について、いかに万全の態勢を取っているかを強調することしかしていません。これには日本国民を誤り導く効果しかありません。

 今回の対応で分かるのは、民主党政権には自民党政権の防衛政策を引きずる以外にできることがないということです。はっきり言って失望です。打ち上げが終わったら、これまでの対応について民主党に提言書を出したいと考えています。



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