オバマ大統領が同性愛婚支持を宣言

2012.5.11


 バラク・オバマ大統領が同性愛婚への支持を宣言したことは、米軍内に存在する同性愛禁止の伝統に対する前進となるでしょう(military.comの記事はこちら)。

 クリントン政権時から民主党の政策の一つは同性愛婚を認めることでした。特に、「アナルセックスは死刑」という極刑が存在し、それがキリスト教的価値観に基づくという米軍の伝統は、キリスト教徒以外の信教の自由を侵害しているという問題も抱えていました。オバマ政権でこの問題が解決されなければ、民主党は政策を実現できないという批判を受けることになります。当サイトでも、この問題の複雑さは何度も取り上げてきました。

 先日、ある日本のニュース番組を見ていたら、米国内の保守派の反発は必至だと説明していて苦笑してしまいました。先日紹介したように、米軍内でオバマ大統領に対する政治献金が増え、共和党を凌駕するようになっています(関連記事はこちら)。同性愛婚に反対する大統領候補者ミット・ロムニーは米軍では同じ共和党候補のロン・ポールよりも人気がありません。同時に、女性が戦闘兵種に接近する傾向もあり、海軍は潜水艦への搭乗を認め、陸軍は大隊レベルの非戦闘部門への配属を認めました。性別の格差は急速に小さくなっているのです。 それに米兵の結婚願望は常に成就される方向に動くのがアメリカの歴史です。かつて在日米軍の兵士が日本女性と結婚できない時代がありました。それは元敵国の異性との結婚は倫理的に許されないという考え方です。しかし、国に貢献する者の結婚を認めないことこそ倫理に反するという考え方が優先し、この制限は撤廃されました。もはや、この動きは止められません。軍隊から民間へと波及していくのも必至なのです。

 一方で、アメリカと敵対することが多いイスラム教国では、同性愛はまったく考えられない話です。こうした世界の情勢がどう歴史に影響していくのかは、まったく興味深いことだと言えます。



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