キング上級曹長が校長職から配属替えへ

2012.5.19


 military.comによれば、先日6ヶ月の休職が解かれたばかりの米陸軍訓練担当曹長学校校長、テレサ・キング最先任上級曹長(Command Sgt. Maj. Teresa King)が配置換えになりました。

 キング上級曹長は陸軍に残り、評判を取り戻すために働くと言います。木曜日に指揮官交代の式典が行われます。キング上級曹長は、上官は指揮官交代の式典を遅らせるという彼女の要請を受け流し、その座に残留する要請を拒否したと言います。「正義が起ころうとしています」「傷つくことになりますが、それは起ころうとしています」とキング上級曹長は言いました。

 「現時点で、私たちは彼女の評判のために戦っています」と彼女の弁護士、ジェームズ・スミス(James Smith)は言いました。スミス弁護士は、陸軍がキングが在籍30年を超える資格を得る8月に退役させようとすることを恐れると言いました。

 フォート・ジャクソン基地(Fort Jackson)では、年間60,000人の兵士が訓練を受け、それには陸軍半数の男性兵士と60%以上の女性兵士が含まれます。女性の職種が増えたために、女性兵士の訓練担当曹長の必要性は増加しています。

 キング上級曹長は、批判は自分が訓練担当曹長に高い基準を課する指示に従っていた時に厳格すぎたと思う者から来ていると考えています。戦闘に派遣されたことがないという批判は、自分は陸軍が送った場所へ行くのだから根拠がないと彼女は言いました。空挺部隊があるフォート・ブラッグ基地(Fort Bragg)に配属された時、彼女は女性だったために戦闘派遣から外されていました。その代わり、彼女はヨーロッパとワシントンでの仕事に送られました。「私は戦闘など恐れません。私は陸軍が行けといった場所へ行くまでです」。

 職を去らねばならないとしても、キングとスミスは上官2人を権力乱用で調査されるように求める法的に訴える意向だと言いました。

 訓練・ドクトリン部(TRADOC)の広報官は陸軍はキングの申し立てを調査中で、詳細は公的に語らないと言いました。「陸軍は人種差別と性差別を真剣に扱いますが、キング最先任上級曹長の懸念は注意深く調査されており、認められれば適切な行動が取られるでしょう」とハーベイ・ペーリット広報官(Harvey Perritt)は言いました。

 指揮官交代について尋ねられ、ペーリットは、陸軍は「5月17日木曜日に彼女が指揮官としての任務を放棄したことが訓練担当曹長学校に最も利益があるとして決定しました。この日付は通常の服務期間の長さを反映し、新任の指揮官の着任に基づいています」と指摘しました。


 先日紹介したばかりの事件に新展開がありました(過去の記事はこちら)。それも非常に意外な展開です。

 このやり方ではキング上級曹長への批判が正当化された感じしかしません。ペーリット広報官の説明はいかにも苦しい印象があります。休職を招いた批判も詳しくは発表されていませんし、復職した理由も明白ではありません。しかし、キング上級曹長が職務中に不適切な行動をした事実がある場合は、最初の批判が認められ、その時点で彼女は解任されたはずです。それを陸軍がしなかったのは、彼女に特別な問題がなかったことを示しているように思われます。その辺の事情がはっきりしない限り、全容はつかめそうにありません。

 キング上級曹長を校長にしたのも、女性が戦闘地域で活動するようになるという大きな変化に対応するためだったはずです。それが一部の反対で挫折したのでは、陸軍の威信が損なわれるように思われます。

 分からないことだらけです。続報も出ないかも知れません。



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