フランス大統領がアフガン訪問
military.comによれば、フランスのフランソア・オランド大統領(Francois Hollande)がアフガニスタンを訪問し、今年末までにフランス軍すべてを撤退させると言いました。一部の教官はアフガン軍を援助するために残留します。
訪問は日本でも報じられていますので既知の部分は省略し、気になる部分だけを紹介します。
オランド大統領は年末までに3,400人の兵士と150人の憲兵の中から2,000人の戦闘員を撤退させると言いました。一部は装備品をフランスに送り返すために残り、その他はアフガン軍と警察の訓練を助けます。大統領は残存する1,400人の役割の詳細や残留期間の長さは言いませんでした。
オランド大統領はフランスはアフガンを見捨てようとしていないと言いました。「違います。これは継続なのです。そして、さらなる関与がアルでしょうが、別の形なのです」。彼は撤退に潜在的な問題があると警告しました。「我々はあらゆる予防措置を取る必要があるでしょう。我々は損失を可能な限り限定しなければならず、兵士たちに危険がないことを確実にします」。
フランス軍広報官、ティエリー・ブルクハルト大佐(Col. Thierry Burkhard)は教官の数は数百人になり、撤退の補給を行う者たちは撤退する兵士と共に少しずつ撤退すると言いました。
フランス軍はカブールと、東武のカピサ州(Kapisa province)、南部のスロビ地区(Surobi district)とカンダハル空軍基地にいます。ブルクハルト大佐は撤退する2,000人のほとんどはカピサ州とスロビ地区にいると言いました。
オランド大統領は装備品は地上ルートで引き揚げられると言いましたが、どのルートかは言いませんでした。
「我々はフランスが過去に行ったのとは違う形でアフガンに駐留したいのです」。フランスは経済と文化面で役に立ちたいと彼は言いました。カピサ州のナジュラブ地区(Nijrab district)の基地での朝の会議で、オランド大統領は「アフガンから戦闘員を撤退させる決定を正当化するいくつかの理由があるといいました」。「アフガン主権の時がやって来ました」「我々の領域を狙うテロリストの脅威は全部消滅したわけではありませんが、部分的に減少しました」。もう1つの理由は「単純に任務を遂行したということです」。
NATOサミットで撤退の方針が確認されたので、オランド大統領は自国の立場を明確にするためにアフガンを訪問して発言したようです。
アフガン戦ほど西欧の戦争文化の欠点を露呈したものはありません。イラク戦には反対したフランスとドイツでしたが、テロとの戦いをどうするのかという要求に対して反対を続けるべきではないという判断が働き、アフガン戦には参加することになったのです。さらにアメリカがイラク戦で失敗し、それを誤魔化すためにアフガンに主軸を移すと関与はさらに深まることになりました。
イラク戦には戦略的裏付けがありませんでしたが、アフガン戦は先に手をつけられながらも途中でアメリカはイラクに主軸を移し、そこで泥沼にはまり、成り行きまかせでイラクを縮小して、アフガンでの活動を活発化させました。何の目標、目的もない戦いをダラダラと続けただけなのに、ヨーロッパはそれにお付き合いをしたのです。これにも当然、戦略的裏付けはなく、単なるアメリカとの付き合いのためだけの戦争でした。
自分の都合で発展途上国を戦場として恥とも思わない心理の背景には差別意識があります。同じ戦争が自分の国内で起きたら彼らは我慢できないはずなのです。植民地時代の意識がまだ亡霊のように世界につきまとっているわけです。
しかし、体面を取り繕って撤退するには、オランド大統領は偽善を尽くすしかありません。彼の発言のほとんどは聞くに値しないものばかりです。同じことをアメリカのオバマ大統領も今後やっていく必要があります。それがブッシュ政権の負の遺産を断ち切るために必要なのです。我々はいかにそれが醜いと思っても、黙って聞き流す必要があります。それなしにアフガンから外国部隊は引き揚げられないからです。
こういう戦争は今後は起きないようにしなければなりません。日本政府は愚かにも、こうした欧米の間違った戦争指導を批判したことが一切ありません。こういうレベルを一段階先へ進め、この種の戦争を防ぐくらいの力を日本が持って欲しいと考えます。
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