1月に米軍基地で男性下士官が女性兵士を刺殺

2012.5.28


 military.comが米陸軍の軍曹が兵舎内で女性兵士を殺害した事件を報じました。

 今年1月にフォート・カーソン基地(Fort Carson)で、ビンセント・ジャクソン3等軍曹(Sgt. Vincinte Jackson)はブランディ・フォンテノーズ技術兵(Spc. Brandy Fonteneaux)の兵舎に入り、口を手で塞ぎ、喉を切りました。病理学者は74ヶ所の傷を数えました。

 検察官と弁護士は1月24日に殺害で起訴されたジャクソンの殺害時の精神状態を金曜日の審問で討議しました。「彼の記憶は明白です」と検察官のリック・マシュー大尉(Capt. Rick Mathew)は最終弁論で言いました。「彼はナイフが彼女の脊椎に入るのを憶えています。彼は血が吹き出るのを憶えています」と検察官は言いました。「殺人の準備があった証拠は何もありません」とジェレミー・ホーン大尉(Capt. Jeremy Horn)は反論しました。「ジャクソン軍曹はナイフを持ち、彼は噛みつきました」。

 ある兵士が1月8日にフォンテノーズ技術兵が自分の部屋で血だまりの中にいるのを発見したと、フォート・カーソン基地の特別捜査官、サーラナ・マシューズ(Serrana Matthews)は言いました。犠牲者のシャツとブラジャーは首の上に押し上げられていました。近くの駐車場のジャクソンの車で見つかった血が兵舎の1階にある彼女の部屋に捜査官を導いたと、エリック・ライト特別捜査官(Eric Wright)は言いました。彼らはジャクソンが殺害の後で自殺しようとした時に彼の部屋で血液を発見しました。捜査官はジャクソンのDNAがフォンテノーズの部屋の照明スイッチと壁を含むいくつかの物から発見されたと言いました。

 3日後、ジャクソンはコロラド・スプリングの精神病院にいる親友に殺害を告白したと伝えられます。どもって震えがなら、ジャクソンはウイスキーとビールを飲んだ後で他の部屋のドアノブを調べてから、フォンテノーズの部屋に入ったことを思い起こしたと、ジャクソンの部隊にいた元フォート・カーソン基地の兵士、クリストファー・コルストン(Christopher Colston)は証言しました。ジャクソンとフォンテノーズは知人の域を超えていたとコルストンは言いました。彼女が目を覚ますと、彼は口を出て塞ぎ、背後から首を絞め、喉を切り裂きました。繰り返し彼女を刺した後、ジャクソンはフォンテノーズをひっくり返して刺し続けました。

 しかし、被告弁護士はすぐにコルストンに反論しました。コルストンは金曜日に、ジャクソンがフォンテノーズを刺した後で床に落ちた時に、自分が何をしているかを理解していたと言ったと証言しました。ジャクソンは、それからフォンテノーズを苦痛と苦しみから救うために首を絞めたと言ったとコルストンは言いました。証言の直後、コルストンはジャクソンはフォンテノーズの首を絞めたあとで身体を制御できなかったことを思い出したと証言しました。コルストンはジャクソンが、ストレス下での副産物である「声」を聞いた事を憶えていると証言しました。「では、彼の脳内に何か問題があると確信しますか?」と弁護士のメリッサ・ダスグプタ・スミス大尉(Capt. Melissa Dasgupta Smith)は尋ねました。「はい」とコルストンは答えました。

 検察官はジャクソンはその晩ずっと自分の意志で行動したと言いました。ジャクソンは犯行後自分の部屋に戻り、何度かのシャワーを浴びました。「それは思いついての行動ではありません」とホーン大尉は言いました。「この場合は自然に起きたことではありません」。

 ロバート・ドスポイ少佐(Maj. Robert Dospoy)は審問に参加し、基地司令官のジョセフ・アンダーソン少将(Maj. Gen. Joseph Anderson)にジャクソンの事件が軍事裁判にかけるかどうかを勧告します。


 弁護団は精神異常を理由にしているようで、審問開始がここまで遅れたのも、多分、精神鑑定に時間がかかったためだと思われます。

 74ヶ所も刺したのは確かに異常な感じはあります。しかし、二人が親密だったことから、何らかのもめ事が事件を引き起こした可能性はあると思われます。怨恨の場合、被害者への攻撃の度合いが強まる場合があります。

 殺害時に興奮して身体が制御できなくなるのは珍しいことではなく、声を聞いたというのも本当かどうかは分かりません。1月の事件がいま裁判手続きが取られているということは、精神鑑定に時間がかかったのでしょう。犯行後に、何度もシャワーを浴びたことは証拠を隠そうとする行動にも受け取れます。罪悪感は完全に喪失されていなかった可能性があり、この事件は裁判が行われる可能性が高そうです。

 この種の事件をあえて紹介するのは、日本のメディアがまったく報じないので、こういう事件は米軍では起きていないと認識されていることを覆したいからです。新聞社などの大手メディアも、軍事専門のメディアも米軍基地内でこんな事件が起きていると日本国民には教えません。しかし、米軍人にとって、こういうニュースが日常なのです。米軍を観察する目を鋭くするためにも、取り上げていきたいと思っています。



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