米露両国に二股をかけるキルギスタン
military.comによれば、キルギスタンのアルマズベク・アタムバエフ大統領(Almazbek Atambayev)は2014年6月以降も米軍の空軍基地を置くことは、賃貸料の増額と共にアフガニスタンが地域の安定にどう影響するかにかかっていると言いました。
アタムバエフ大統領は水曜日に公共放送に対して、マナス輸送センター(Manas Transit Cente)の結末は、元ソ連圏の中央アジア諸国の国益に有利になるように決められるだろうと言いました。より高額の賃貸料と引き替えに基地が残存しつつけるというアメリカの仮定には根拠がないと言いました。アメリカは基地に年間6,000万ドルを支払います。アタムバエフ大統領の意見は、基地取り決めは事実上終了し、航空機の輸送は民間空港を通じて行われるという彼の最初の見解から僅かな変化を示しているように見えます。大統領は基地の存在はこの地域における米軍の行動への報復攻撃に対して国を脆弱なままにしていると言いました。彼はまた、基地に関する決定は最終的はキルギスタンの軍事同盟国、ロシアの責務かも知れないとほのめかしました。ロシアは時刻の戦略的裏庭を脅かすアメリカの駐留に反対してきました。「我々は戦略的パートナーの意見を考慮する必要があります」と大統領は国名を出すことなく言いました。キルギスタンは旧ソビエト7州から成るモスクワ主導の安全保障条約機構軍事同盟のメンバーです。ロシアはこの同盟の合意に基づいて、マナス基地に近いキルギスタンのカント空軍基地を管理しています。
この言い方では、アタムバエフ大統領はアメリカから少しでもお金を搾り取るために、ロシアを引き合いに出しているとしか言いようがありません。以前から、キルギスタンはこうやってアメリカから蜜を得ようとしてきました。なにしろ、これは一種の特需なのであり、こんな時でもないとアメリカに重宝されない国ですから、無理もありません。アメリカにとって、アフガン撤退を順調に進めるためには、キルギスタンの基地はどうしても必要なのです。
これが現代の国家間の取引というものです。日本もこれくらいの神経の太さが欲しいのですが、政府もマスコミも外国からの圧力を必要以上に気にして、国益を損ねています。普天間基地への海兵隊基地移転を取り決めなければ、日米関係を著しく損ねるといった意見がそうです。勝手に自分が悪いと決めつける前に、なぜ在日米軍基地によって、アメリカがどれだけ恩恵を受けているかを考え、その価値をアメリカに認めさせないのかが私には分かりません。さらに、積極的に韓国との協力関係を築くなど、独自の動きを見せられないのかも疑問です。
北朝鮮のテポドン2号打ち上げでも、日本国民を不安にさせないためだけに迎撃態勢を敷き、結局、必要な軌道データを採取できないという体たらくです。これでは、日露戦争でバルチック艦隊が対馬海峡を通過したことで日本全体が不安に陥ったことから何の進歩もしていません。それに、自衛隊が完璧に国民を守るという神話を維持しようとすることは、むしろ国民の戦争観をねじ曲げます。武力紛争において、軍隊などが完璧に国民と守ることなど不可能です。互いに受け入れがたいほどの国民の損失を被り、先に根を上げた方が敗者になるのが戦争です。実際のところ、負荷の高い武力紛争において、自衛隊は国民を守っている余裕はありません。自衛隊は日本の領域を守ることで、結果として国民を保護しますが、国民自体を保護できるのは負荷が低い段階だけです。ところが、日本政府は自衛隊が直接国民を守っているかのような宣伝ばかりしてきました。こんな蜜のような戦争観を植え付け続ければ、国民の健全な認識は育たないでしょう。
こんな甘い世界に浸りきっているから、すぐに自虐的反省モードに陥り、日米同盟を最優先という意見が幅をきかせることになります。政府もマスコミも、戦後はこのモードに入りっぱなしで、別の展開を構想できないでいるのです。キルギスタンの感覚が日本にも欲しいと思うのです。
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