脳外傷判定に血液テストが有効か

2012.6.16


 military.comによると、米陸軍は衛生兵が戦場で脳細胞が損傷を受けたかどうかを決めるために、血糖値を調べるのに似た血液テストを試しています。

 「我々は脳細胞が損傷した時にだけ存在するいくつかの固有の生成物を血中の蛋白質に実際に見つけました」と、ダラス・ハック大佐(Col. Dallas Hack)は言いました。急性脳外傷に最も敏感で、特有のものであると分かった蛋白質は、ユビキチン・カルボキシ末端・エステラーゼL1(ubiquitin carboxyl-terminal esterase L1: UCHL1)とグリア細胞繊維性酸性タンパク質(glial fibrillary acidic protein: GFAP)と呼ばれます。ハック大佐は脳外傷が深刻であるほど、より多くの蛋白質が血中に作られると言いました。


 時間の関係で記事の後半は省略しました。

 これは朗報です。

 見たところ、脳外傷はPTSDと見分けにくいという問題がありました。このため、脳外傷の患者にPTSDの治療を施すといった間違いが繰り返されてきました。簡単に検査する方法があれば、より迅速で正確な治療が可能になります。テストの詳細は分かりませんが、血糖値の検査に似ているのなら、少量の血液採取で済み。結果はすぐに出るのでしょう。しかし、記事には同時多発テロが起きた日の朝にフロリダ大学でこの検査についての会議があったとも書いています。その後、イラク派遣で脳外傷を被る兵士が急増したのに、今ごろ実用化に向けた動きが進んでいるわけです。対処があまりにも遅すぎたとしか言えません。



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