米軍でも50年以上死刑執行はなし
military.comが、最近の米軍では極刑が執行されることが非常に少なくなったことについて書いています。
歴史は有罪判決が出ても、米陸軍は処刑を実行しそうにないことを示唆します。最後の処刑は1961年でした。マクラッチー紙は昨年、1984年以来、死刑判決を受けた16人の隊員の内10人が処罰を覆されたと報じました。「我々は普通、自国民を処刑するのに躍起にはなりません」とエール大学で軍法を教えるユージン・フィデル(Eugene Fidell)は言いました。「我々が米兵を処刑してから50年以上が経ち、多くの死刑判決がありましたが、陪審員と上訴裁判所と大統領を含む審査当局の評価は死刑を行うことに乗り気ではないのです」とフィデルは言いました。
交戦地帯で民間人を殺害した兵士は、最も重大な処罰として終身刑になる可能性があります。2010年にアフガニスタン人3人を殺害した兵士4人に対して、誰も死刑を求めませんでした。この事件の首謀者には仮釈放の可能性がある終身刑が科せられました。2006年に14歳のイラクの少女を強姦して殺害したグループのリーダー、スティーブン・デール・グリーン元上等兵(former Pfc. Steven Dale Green)は、仮釈放なしの終身刑となりました。「歴史と経験は、犠牲者が民間人の非戦闘員よりもアメリカ人である場合の方が、(軍事裁判は)死刑があり得る事件として裁判にしがちなことを示しているように思われます」と軍法を教えるジョージタウン大学助教授ゲーリー・D・ソリス(Gary D. Solis)は言いました。ソリス助教授は元海兵隊将校で、ベトナム戦争時代のミライ村虐殺事件について本を書きました。
この記事は紹介するかどうか迷いましたが、昨日、2006年に横須賀市の路上で米兵に殺された女性の損害賠償請求に対して、原告敗訴の判決が出たので紹介することにしました。
記事には死刑判決を受けたり、受けると思われる軍人たちの事が書いてありますが、すでに当サイトで紹介済みの事件ばかりなので、それらはほとんどを省略しました。彼らの名前は「死刑」で当サイトを検索すれば調べられます。
軍隊でも実際に死刑が実行されることは減っています。最近の日本は被害者の報復を認める傾向があり、死刑に対してますます肯定的になっていることを考えると、これは皮肉です。
実のところ、世の中の不公平を感じるのは、米軍の重大事件を見る時です。戦地での犯罪は露見することが少なく、露見しても犠牲者に対する償いは、アメリカ国内で起きた殺人事件の被告に科せられるものよりも軽いように感じるからです。ジュネーブ条約では、戦地では民間人を保護するように定めていますが、現地の兵士の頭の中では「敵の一味」であり、故意でも過失でも殺したって構わないと認識されています。戦闘活動ではない爆弾処理でも、ロボットで爆弾を近くの空き地に運んで、そこで爆破処理します。アメリカ国内の爆弾事件なら処理車に格納して、安全な場所に運んでから爆破するでしょう。自分の国ではやって欲しくないことでも、戦地でなら平気なのです。基地のゴミ処理場で何でも焼き、それで兵士や軍属に健康被害を出した事件も、アメリカ国内ではまったく許されないことです。とにかく、米軍が国外でやることは雑です。先日オスプレイの墜落事故で紹介したように、米軍の演習場は極めて広大で、彼らはそこで安全に訓練を行います。しかし、沖縄では市街地上空を平気で飛び回ります。
日本の政府なら、こういう米軍の実態を知って、必要な要請を在日米軍にやっていくべきなのに、我が政府はアメリカ政府の支局みたいに彼らに忠実です。事故や犯罪の防止は米軍にとっても重要で、これらについて要請したところで、日米関係が壊れるわけではないのに、なぜか日本人は遠慮してきました。近年、ようやく犯罪者の兵士の引き渡しが実現しましたが、私はまだ要請のレベルを上げるべきだと考えています。
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