トルコ軍機は国際空域で撃墜か
military.comによれば、トルコは国境に接近するシリア軍部隊が緊張を高めていると警告しました。NATO同盟国はトルコとの連帯を表明し、シリアの攻撃を非難しましたが、シリアに対する報復については言及しませんでした。
「トルコ軍の交戦規定は変更されました」と、レジェプ・タイップ・エルドアン首相(Prime Minister Recep Tayyip Erdogan)はテレビ演説で言いました。「シリアからトルコ国境に接近し、安全保障上の危険を示すすべての軍の部隊は脅威とみなされ、軍の攻撃目標として扱われます」「何者も我々の冷静な態度にだまされてはいけません」「常識に基づいた我々の行為は弱さと思われてはなりません」。
NATO軍はトルコが北大西洋理事会で事件について説明した後で、ジェット機の撃墜は受け入れがたいと言いました。理事会はNATO軍規定の第4条に基づいて開催されました。アンダーズ・フォー・ラスマッセン事務総長(Secretary-General Anders Fogh Rasmussen)は、シリアの攻撃を最も強い言葉で非難し、トルコとの連帯を表明しましたが、シリアに対する軍事活動の可能性については言及しませんでした。「状況は悪化し続けないというのが私の明白な予測です」とラスマッセン事務総長は記者に言いました。「我々が見ているものは、完全に受け入れられない行為で、我々はシリアが将来こうした事件が起きないようにするための必要な措置について話し合うことを望みます」。
エルドアン首相はシリアは国際空域で警告することなく、故意に、敵対的行動によって非武装の航空機を撃墜したと言いました。彼はこの地域の国境侵犯は珍しいことではなく、シリアのヘリコプターは最近トルコの空域を5回侵犯し、トルコは対応しなかったと言いました。2ヶ国は910kmの国境を共有します。
エルド案首相は、シリア軍が金曜日に、ジェット機の撃墜に続いて捜索機に発砲したと言いました。この航空機が被弾したかどうかは不明です。
トルコ国民の怒りは概ね静まり、与党の上級メンバー、ヒュセイン・チェリック(Huseyin Celik)は党員は戦争に反対していると言いました。
ワシントン・ポスト紙によれば、トルコの国営メディアが日曜日に、RF-4E偵察機の残骸が地中海の深度1,300mで発見されたと報じましたが、当局者は記事を確認しませんでした。パイロット2名は行方不明のままです。
トルコのアーメト・デビュトル外務大臣(Foreign Minister Ahmet Davutoglu)は、ジェット機はトルコのレーダー能力を試すために訓練飛行を行ったのであり、シリアをスパイしていたのではないと言いました。航空機は誤ってシリア空域に迷い込んだものの、すぐにトルコから離れるように警告され、撃墜された時に国際空域の中に1マイル入っていたと言いました。
記事の必要な部分だけを紹介しました。
今日の報道で、ようやく事件の詳細が分かったと感じました。結局、トルコ軍機はシリア空域を1km侵犯し、国際空域に引き返した後でシリア軍のミサイルで撃墜されたと考えるべきです。
現在もパイロットの遺体は発見されていません。撃墜場所が1km沖合なら、遺体はおろか機体も発見されていて不思議ではありません。シリアの海岸は遠浅で、1km沖合もすごく浅いのです。これならすぐに機体も見つかるはずです。深度1,300mで機体を発見したとすれば、沖合20km付近の深度に一致します。場所はラタキア市の北西でしょう。トルコ軍のレーダー能力のテストだったという説明は、トルコ領内で低空飛行をしていた理由の裏付けになります。偵察機はそのまま低空で飛行し、トルコ軍のレーダーに捕捉されるかを試していたわけです。機体を早期にサルベージできれば、対空機銃弾の弾痕の有無や、地対空ミサイルの破片とか火薬の燃焼物などが検出できる可能性があります。物的に証明すれば、トルコの正当性は万全なものになります。
トルコの対応は適切で見事です。シリアの対応は国内の混乱を暗示させます。強いて言えば、内乱と軍人の亡命によるシリアの焦燥を理解せず、訓練飛行を行ったことを指摘できるだけです。領空侵犯を確認したシリアは、当時、反政府派を厳しく取り締まり、軍人の亡命を阻止する必要に迫られ、ピリピリした状況にありました。このため、通常なら見逃す程度の領空侵犯に過剰に反応したのです。スクランブルを命じると、パイロットがそのまま亡命してしまう可能性があったので、ミサイル攻撃を選択したのです。この指示は政治のトップレベルから出されたものであるため、手順を吹っ飛ばして撃墜した現地指揮官を批判できず、むしろ擁護することしかできないのです。
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