トルコが国境沿いに対空砲を配備
military.comによれば、トルコはシリアとの国境に対空砲を配備したとトルコ国営テレビが報じました。
小規模の軍用トラックの車列が国境の村、グベクシ(Guvecci・kmzファイルはこちら)の軍の前哨に入りました。そこは国境を渡ったところにあり、先月シリア軍と反政府軍が衝突したシリア軍前哨に直面しています。対空砲が国境沿いの他の場所でも設置されました。トラックが自走多連装ロケットランチャー運ぶのを国営放送は報じました。
シリア情報省のオムラン・アル・ゾエビ大臣(Information Minister Omran al-Zoebi)は、水曜日にトルコのニュースチャンネル「A Haber」との電話インタビューで、シリア軍がトルコ軍機をイスラエル軍機と間違えて撃墜したかも知れないと言いました。彼はシリアはトルコとシリアの間の危機を望まないと言いました。トルコとイスラエルのジェット戦闘機の大半はアメリカ製で、そのためにシリア軍がイスラエルのジェット機と間違えたのかも知れないと言いました。
Google Earthを使ってグベクシ村と周辺の地勢を確認してみてください。トルコ国境の内側には防衛用に作られたと思われる道路があり、監視所や前哨基地が置かれているのが分かります。反面、シリア側はむしろ生活道路が多いように見えます。グベクシ村の南東にはフェンスに囲まれた、赤い屋根の建物がある前哨基地があり、多分、対空砲はここに運ばれたのでしょう。同種の施設が一定の距離毎に置かれているとこからも、トルコが極めて計画的に防衛計画を立てていることが分かります。シリアの方はそれらしい施設がほとんどなく、トルコが攻めてくることはあまり念頭にないのか、単に資金不足で建設できないのかのいずれかでしょう。こういう状況を見るだけでも、シリアがトルコとの戦争を望まないことは容易に想像できます。
トルコとしては、こういう配備替えを見せつけることで、同種の事件が起こらないようにしているのです。シリア軍と反政府派が衝突した場所に近くで動きを見せることで、シリア政府の弾圧に対しても同時に圧力をかけられます。実に冷静で巧みな対応だと感じます。日本のテポドン2号に対する対処に比べると、数段、的確だとすら思います。
ゾエビ大臣の説明にはかなりの無理があります。トルコ軍機が北から南下してきたことくらい、シリア軍には分かったはずです。シリアの南にあるイスラエル軍の航空機でないことは百も承知です。なんとかして、両国間の緊張を高めたくないという気持ちから出た言葉でしょう。ここからもシリアとトルコの緊張がこれ以上激化する意図はないことが分かるわけです。
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