日韓情報共有協定の調印が延期へ

2012.6.30


 military.comが日韓の軍事情報共有協定が韓国国内の反発で延期されていることについて報じました。

 韓国と日本の第2次世界大戦後で最初の軍事協定は難しい歴史を持つ2国間の進展をみられました。署名が行われる直前に、日本の外務相は合意を歴史的出来事と言いました。この合意は韓国で騒動となりました。韓国は1945年に第2次世界大戦が終わるまでの数十年間、日本の植民地でした。批評家は韓国政府が日本を信頼しない反対派からの反発を恐れ、十分な公の議論なく推進したと言います。

 1週間前に韓国が承認した後、日本は金曜日に協定を承認しました。しかし、金曜日にソウルは撤回し、韓国内での懸念を理由に正式な調印式を延期しました。日本の外務相は、式典がソウルの要請で延期冴えると言いました。内閣官房広報官は「我々はこの合意を非常に重要だと考えています」「まだこの署名を望んでいるというのが我々の視点です」と言いました。

 協定はミサイル防衛、北朝鮮の核兵器計画、中国の軍事活動と地域の安全保障問題のような分野での情報共有の枠組みを確立します。朝鮮日報は社説で「日本と軍事情報保護の合意を結ぶことは、絶えず成長する北朝鮮からの脅威のために必要です」「北朝鮮に関するより質の高い情報は、我々の安全保障をよりよくします」と言いました。


 日本と韓国の間で協調する動きがあると、必ずそれに反発する動きが出ます。北朝鮮の拉致問題でも被害者たちが国境を越えて協力しようとした途端、韓国側から警戒の声があがって進展しませんでした。過去の悪しき歴史がいまでも両国間の関係改善を阻害しているのです。つまり、武力を行使するような大きな紛争を抱えた後は、半世紀くらいは関係が元に戻らないと覚悟しておけということです。理屈から言えば、例外は相手を全滅させること、文字通り皆殺しにすることですが、このようなことは実際には実行できないものですし、やるべきことではありません。

 弾道ミサイル対策のために韓国と情報を共有する必要は言うまでもなく、4月のミサイル発射の前に協定を結ぶくらいの政治力が必要だったと私は考えます。弾道ミサイル対策について政府は万全を期していると言い、マスコミも批判せず、国民も問題視していませんが、軍事的に評価すれば明らかに後手です。事態が起きて、追っかけてそれに対処しているようでは遅いのです。北朝鮮が次のミサイルを打ち上げる前までに必要な準備を整えておくべきなのです。よって、韓国との情報共有はすでに終えているべき政治課題だったのです。

 この協定に疑問を差し挟む必要はありません。忘れられがちなのは、両国に存在する米軍が仲介役を演じられるということです。両国に米軍が駐留していることで、日韓は互いに争うことができない環境にあるのです。

 日韓米のイージス艦のデータを統合し、テポドン2号の詳細な性能評価をするくらいのレベルに協定を持っていくべきなのです。



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