米陸軍が私物のハイテク弾倉の使用を禁止
military.comによれば、米陸軍は兵士に私物のM4小銃用弾倉を使うことを禁じました。
2007年にマグプル・インダストリー社(Magpul Industries Corp.)が発売したポリマー製のM4用弾倉「PMAG」はベテラン兵にM4の信頼性を大幅に改善すると言われています。TACOMライフサイクル管理部(the TACOM Life Cycle Management Command)は4月にPMAGとその他すべてのポリマー製弾倉を非承認リストに載せるメッセージを出しました。メッセージはPMAGには触れず、陸軍支給のアルミ製弾倉を使うことだけを承認しました。また、「部隊は技術マニュアルに載っている陸軍が承認した弾倉のみを使うことが承認される」と新しい方針の例外について僅かな説明しかしていません。さらに、陸軍部隊は長年に渡って購入した多額のPMAGをどうするべきかについては述べていません。
マグプル社はコメントを避け、マーケティング・販売担当副社長、ロバート・ヴィドリン(Robert Vidrine)は、同社がメッセージが現場に伝えられたあとでTACOMのメッセージを知ったといいました。
PMAGは陸軍が承認した国家ストック番号(national stock number)を得ているため、陸軍の補給システムを通じて注文できます。この決定は戦闘部隊を困惑させました。
匿名のアフガニスタンで勤務する兵士は、PMAGは軽量で耐久性があり、多くの兵士が使用していると言います。武装偵察部隊を含む海兵隊の歩兵も多くがPMAGを使っています。
TACOM広報のエリック・エマートン(Eric Emerton)はMilitary.comの質問に対して、メッセージは陸軍部隊が未承認の弾倉を使っているという数多くの報告によって発行されたと言いました。「承認済みの国家ストック番号はこれまで技術マニュアルに含まれてきましたが、国家ストック番号を持つだけで、陸軍が認定ユーザーであることを意味しません」。
PMAGは第75レンジャー連隊の標準装備で、彼らは戦地に派遣される前に歩兵部隊に通常支給されていたので、これは完全な方針転換です。第61騎兵連隊第3大隊B中隊の兵士は2009年にアフガンに派遣される前にPMAGを支給されました。同年10月3日、彼らはキーティング戦闘前哨(Combat Outpost Keating)で大胆な敵と6時間戦い、8人の米兵が死亡しました。一部の兵士は40個のPMAG弾倉を一度も停止せずにM4小銃で撃ちました。
Military.comはTACOMにPMAGに使用禁止を正当化するような問題を見つけたのかを尋ねました。TACOMは質問には答えず、戦没者追悼記念日前の木曜日の夕方にそれを「プログラム管理局(Program Executive Office Soldier)」へ引き渡しました。TACOMのメッセージは陸軍の改良型弾倉を使うことを認めました。プログラム管理局は2007年にM4小銃が信頼性試験で他3種類の小銃に対して最下位で終わったあと、改良型弾倉を開発しました。埃に対する耐久テストではM4の装弾不良の27%が弾倉に関係していることを示しました。
改良型弾倉は内蔵スプリングの上にあり、装弾を上部レシーバーに送り込む「送り板」を設計し直しました。新しいタン色の送り板は、装弾の重なりと姿勢を向上させるため、延長された後部の脚部と装弾の突き出しの改良を特徴とします。独りでに水平になり、傾かない送り板は弾倉に関連した装弾不良を古い弾倉に比べて50%以上向上させたとプログラム管理局は言いました。兵士は新しい弾倉をもらうまで緑色の旧型弾倉を使うことも承認されました。Military.comは新しい弾倉がPMAGを上回るかと尋ねましたが、印刷締切までに回答を得られませんでした。
前述のアフガン南部に勤務する歩兵は新型の改良型弾倉について語りました。「どの弾倉とも同じく、これらは真新しくて埃や泥の中を引きずらなければよく機能します。私はタン色と緑色の送り板に大きな違いがあると言えません。アフガン派遣のための訓練が終わってしばらくすると、二重装填、不適正な装弾などの同じ問題が起こりました。頻繁でなくてもその半分くらいで問題が起きる内は素晴らしい解決案ではありません」「弾倉は開口部が曲がり、中央部分ではつぶれる傾向があるままです。ポリマー製の外皮のお陰で、私はこう言う問題をPMAGでは見たことがありません。私は空のPMAGがMRAP(対爆装甲車)に踏みつけられたのに、あとでその週に射撃場でテストしたら完璧に動くのを見たことがあります。私が標準支給の弾倉でこれを最後に見た時は、くず鉄になってしまいました」。
またしてもM4小銃で欠陥問題が浮上しています。それも長年言われ続けてきた問題をもみ消すかのような動きです。記事中のキーティング前哨の戦いについては、何度か紹介しましたが、公式な報告書の記事を読むとよいでしょう(関連記事はこちら)。M4小銃の相談不良が致命的な段階で起きた事件についても報じられています(関連記事はこちら)。このように、M4問題は当サイトで何度も紹介してきました。
米陸軍の装備品は防弾ベストについても性能面の問題が言われたことがあります。他にもハンヴィーの装甲など、対テロ戦がはじまってから、兵器の欠陥は繰り返し言われました。
米陸軍は小銃に関しては常に保守的な対応をとってきました。問題が叫ばれても改善しようとしないのです。それほど、小銃は陸軍にとって基幹的な兵器であり、その改善には消極的のようです。
マグプル社のホームページに、車でひいたり、砂をつけての動作テストをした映像が掲載されています。確かに驚くほどの性能です。映像はこの他にもあります。
価格面では、ポリマー製もアルミ製もそんなに差がないはずですが、供給量に問題があるのでしょうか。この問題は今後、より大きくなるように思われます。議会が騒ぎ出すと,陸軍も動かざるを得ないでしょう。
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