オスプレイにドライブシャフト破損の恐れ

2012.7.14


 琉球新報が7月12日付けの記事で、オスプレイのドライブシャフトの問題について報じました。

元海兵隊で軍事評論家のカールトン・メイヤー氏は自身のサイトで「両翼の角度を転換させる際に過度の振動が発生し、シャフトを破損させることがある」と指摘。ドライブシャフトの不具合がオスプレイなど垂直離着陸機特有の問題だとの見方を示している。

 メイヤー氏のサイトは見つかりましたが、そこにこの原文が載っているのかは分かりませんでした(サイトはこちら)。しかし、別のサイトにメイヤー氏の意見が載っているのを見つけました(サイトはこちら)。

 この中で、ドライブシャフトは過度の振動と騒音を引き起こし、パイロットに高い作業負担を負わせるとメイヤー氏は書いています。ある事故はシャフトから尾部ローター(原文のまま。「尾部」は誤記と思われます)への機能不全の結果として起こりました。さらに、翼(固定翼と回転翼のどちらかは分かりませんが、多分回転翼の方)が変形すると、その影響をさらに受けます。特に、翼(前に同じ)の角度が35〜80度の間で機体が不安定になるといいます。

 オスプレイのエンジンとローター系統の構造はglobalsecurity.orgの記事をご覧ください(記事はこちら)。簡単に言えば、両翼の端にあるエンジンはドライブシャフトで連結されており、同期して動くようになっています。

 文には意味を確認すべき部分もありますが、機体に強い力がかかると変形によってドライブシャフトに無用な力がかかり、それがシャフトの破損を招くということは分かります。当然、これは墜落を招きかねない問題です。

 同じページにはオスプレイが抱える様々な欠点が書かれています。

 それから琉球新報の記事には気になる訳があります。

国防分析研究所でオスプレイの主任分析官を09年まで務めたレックス・リボロ氏は「ドライブシャフトで仮に火災が発生すれば、シャフトは合成材でできているので燃える」と指摘。「ドライブシャフトの火災はまれだが、今後起きる可能性もある。そうなればシャフトは折れ、墜落するだろう」と述べた。

 「火災」の部分は多分「焼き付き」の誤訳だと思われます。原文を見ていないので何とも言えませんが、金属製のドライブシャフトが燃えることは考えにくく、「折れて」と書いてあるので、高速で回転するドライブシャフトが熱で焼き付き、強い摩擦抵抗が起きて折れるという意味だと想像します。「合成材」は「複合材」の方が適切のようにも思えます。折角の記事なのだから、細かい部分も疎かにしないで欲しいものです。



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