シリアのアレッポで激戦が継続中

2012.7.26


 military.comによれば、シリア北部の都市アレッポ(Aleppo・kmzファイルはこちら)で激戦が続いています。政府軍反政府派共にこの都市に増援を送り込んでいます。

 シリア人新聞記者は、シリア第二の都市アレッポの支配権を決める戦いが起こり、シリア軍と反政府派は大勢の兵士をアレッポ市内と周辺に配置しました。「街郊外の約1ダースの地区は反政府派の手にあり、爆発と自動銃の音を聞くことができます」と反政府派は言いました。人権団体「the Syrian Observatory for Human Rights」の理事、ラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)は反政府派の流入を認め、シリア軍も増援を派遣したと言いました。「過去48時間に、ダマスカスとアレッポの幹線道路上にシリア軍の増援部隊があります」。彼は反政府派は車列を狙っているとつけ加えました。水曜日の午後、反政府派はIEDを用いて街へ向かう治安部隊の車列を攻撃し、8人を殺しました。火曜日に彼らはアレッポへの到着を遅らせるために車列を攻撃しました。治安当局は、進行中の主要な戦いは街と空港の間にあり、それらはテロリストたちの手にあると言いました。衝突は都市南部のバスタン・アル・カスル(Bustan al-Qasr)の近くで続き、陸軍の武装ヘリコプターが付近を攻撃しました。

 BBCの記事は自由シリア軍がアレッポの70%を支配したという主張を紹介しています。また、小銃とPRGのような武器がトルコから数ヶ月間にわたって持ち込まれたとも言います。アレッポの地名に関しては、BBCの記事の地図を参照してください。


 時間がないので、ごく一部についてだけコメントします。空港が反政府派の手にあるというのは驚くべき情報です。Google Earthのkmzファイルでアレッポを見るか、Wikimapiaの検索フィールドに 「Aleppo」と入力してみてください。

 アレッポ国際空港は街の南東にあります。衛星写真で見れば分かるように、ここは民間と軍の共用施設です。そこが反政府派の手に落ちているのです。さらに南西部には陸軍の弾薬庫や訓練基地、砲兵隊もあります。都市周辺には対空ミサイル基地があります。他の軍基地がどうなっているのかが気になりますが、空港がすでに陥落している点は非常に大きな進展だと考えられます。これだけの大きな動きをするためには、政府軍のかなりの部分が反政府派に転じたか、隣国からの武器運搬ルートが大規模になっているとしか思えません。それはBBCの記事によって裏づけられました。アレッポの情勢は数日の内に決着がつくかも知れません。そのためには、ダマスカスの戦闘が続き、政府軍が少ない場所に戦力を集中する事態にならないことが必要です。ダマスカスとアレッポ両方の反政府派はいま戦闘を止めるわけにはいかないわけです。



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