ダマスカス、アレッポで戦闘が続く

2012.8.18


 military.comによれば、シリア軍がアレッポ(Aleppo・kmzファイルはこちら)の空港の近くに反撃を行ったと国営メディアが報じました。

 ダマスカス(Damascus)では反政府派が孤立していると考えられる西部地区を含む多くの地域で砲撃と衝突を報告しました。反政府派のモアズ・アル・シャミ(Moaz al-Shami)は砲撃は絶え間なく、銃手は街を見下ろすカシオウン山地(the Qassioun mountains)から発砲していると言いました。

 国営メディアのSANAは、武装したテロリストグループが空港の両側の地域から押し出されたと言いました。報道は戦闘が国際空港や、北部の反政府派基地を空襲している軍飛行場のどちらかを明らかにしませんでした。反政府派はユネスコ世界遺産の古城がある旧市街を支配しようとしています。それは反政府派の前進を止められるという政府の主張に決まりの悪い一撃を与えます。


 記事はごく一部を紹介しました。

 アレッポ国際空港は反政府派の手に落ちているのかと思いましたが、政府が掌握しているようです。その周辺に反政府派がいるので、シリア軍が反撃を行ったということです。

 アレッポ国際空港には民間用ターミナルと空軍基地が隣接しています。反政府派は空軍基地の部分を砲撃したがっているはずです。ピックアップトラックに迫撃砲を乗せれば、遠くからでも攻撃でき、政府軍が発射地点に気がついたら逃げるようにします。着弾を観測する者がいないと効率は悪いのですが、空軍に圧力をかけることはできます。Google Earthで見れば、空軍基地の周辺に塹壕が掘られている事が分かります。

 ダマスカス西方には山地があって、大統領宮殿もあります。ここはシリア軍にとっては緊要地形でしょう。

 しかし、戦況は依然として不透明です。ダマスカスとアレッポにはまだ反政府派がいます。先日、シリア政府が発表したように、反政府派を両都市から追い出したという話ではなくなっています。政府側の発表が曖昧な時、それは反政府派が有利な状況だと推定することもできますが、確証は得られません。

 ダマスカス空港に燃料切れで緊急着陸したエールフランス機が、燃料を補給するのにクレジットカードでの支払いを一時断られ、乗客に現金を求めたという気になるニュースがあります。最終的には乗客から金を借りなくても燃料補給は行えたということですが、これは空港側が内戦でクレジットカード代理店を停止され、燃料代を請求できなくなることを恐れたのかとも見えます。シリア政府の混乱ぶりの証拠かも知れません。



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