シリア政府軍はジリ貧、反政府派が優勢
BBCがシリアの政府と反政府派の支配地域を地図で示しました。(地図は元記事を参照してください)
シリアに国際的ジャーナリストはほとんどおらず、状況は困難で危険です。暴力の報告は携帯電話の不明瞭な映像がついたソーシャルネット上への投稿でなされています。2011年10月からの反政府派と政権の活動に基づいた地図がワシントンに拠点を置くシンクタンク「the Institute for the Study of War: ISW」から公表されました。(ISWの記事と地図はこちら)
「the Syrian Observatory for Human Rights」のような反政府派、シリア国営通信社、シリアにいる国際ジャーナリストの報告がこの地図を編集する際に検討されました。約25%の事件で、ISWのアナリストは政府と反政府派の情報源から戦闘と事件に関する説明を相互参照できました。
ISWは地図上の「反政府派の支配地域(rebel-held zones)」は自由シリア軍の支配地域だと言います。自由シリア軍はゲリラ部隊であり、前線と支配地域は絶えず動きます。政府軍に攻撃されると反政府派は損失を避けて領域を防衛せず、撤退します。
ISWのアナリスト、ジョセフ・ホリデー(Joseph Holliday)は地図の手法について説明しました。「『反政府派の支配地域』へは政府軍は望めば入れますが、大きな損失を強いられます」「政府はこれらの地域の中に孤立させられました。そこから彼らは周辺の村へ定期的に砲撃をしますが、これらの前哨基地は外へ地上軍を出す能力がなく、多くの場合で空輸だけで補給されるか、まったく補給を受けていません」「その上、政権は一つずつこれらの守備位置を崩壊させており、反政府派は他の守備位置に集結して制圧しています」。
自由シリア軍は強化され、より作戦を調整するようになり、ダマスカスとアレッポの両方に攻撃を始めました。
これではっきりしました。政府軍は自らの支配地域の中に押し込められているのであり、最近、シリア政府から発表された攻勢は偽情報です。以前から考えていたように政府軍は不利な状況へ追い込まれています。今後は補給が切れた部隊が投降するという具合に進展していきます。状況に確信が持てて、すっきりとしました。
残念なことに日本人ジャーナリストの山本美香さん(独立系通信社ジャパンプレス)がアレッポで殺害されたとのことです。しかし、私の父の死の時にも言いましたが、これはただ一人の死です。シリアは社会構造が反政府派と政府のどちらかが勝利しない限り、大量の殺戮が続く状況になっています。こうした時に一人の死で動揺するのは愚かであり、こういう社会状況を防ごうというのが、当サイトの活動趣旨でもあります。
すでにインターネット上には山本さんの死に対する感情的な意見が投稿され、殺害犯を非難する声明が多数出ていますが、私はこうした発言を不愉快に感じます。どんな場合でも、戦争を考えるにあたり、感情的になるべきではありません。最良の結末を見据えつつ、冷静な判断をくだすべきなのです。そうでなければ、我々は戦争の虜になるしかありません。(山本さんの映像。映像には負傷した山本さんが映っています。刺激的な映像なので、見たくない方はリンクをクリックしないでください)
こうした現地で活動するジャーナリストと当サイトがうまくコラボできれば、記者への被害を少しでも減らし、有益な情報を集められると思っています。
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