山本さん殺害は政府系民兵
毎日新聞によれば、シリアで死亡した山本美香さんは銃撃される前に砲撃で負傷していました。
反体制派組織「シリア革命総合委員会」のアハマド・ハラビ氏によると、山本さんは銃撃される前に政府軍の砲撃で足に軽傷を負い、移動の車を待っていた。そこに政府系民兵が到着し、現場にいた山本さんや同僚の佐藤和孝さん、トルコ人2人、パレスチナ人1人の計5人のジャーナリストに向けて直接、銃撃を始めたという。
また、政府軍を離反した元兵士らで組織する「自由シリア軍」のムハンマド・アブルナスル氏は「山本さんは銃の乱射に巻き込まれたのではなく、カメラを持っていたために狙われた」と事件当時の様子を振り返った。
BBCがシリア内戦について戦況を報じました。
ダマスカスとアレッポの戦闘は継続しています。ダマスカスは大砲と空爆で激しく攻撃され、24時間以内に少なくとも41人が死亡しました。砲撃はアレッポの反政府派の支配地域にも行われています。自由シリア軍の最高指揮官は最近、アレッポの3分の2を支配したと言いました。
毎日新聞の記事は山本さんを殺したのが政府系民兵であることを裏づけています。
おそらく、反政府派兵士と記者がこの付近にいることが政府系シンパによって民兵たちに知らされていたのです。民兵が「日本人がいる」と言って発砲したという報道があります。砲撃がその為に行われたかどうかは分かりませんが、山本さんがカメラを落としたことを気にしている様子なのは、砲撃のことを言っているのだと思われます。唯一幸いなのは、山本さんが声も発しないで倒れたことが、彼女が撮影した映像から分かることです。苦痛は感じなかったと想像できます。
目の前にいた兵士が撃った弾が当たったか、もっと遠くにいる狙撃兵が撃ったのかは分かりません。しかし、銃声が聞こえる前に山本さんが倒れているようにも見えます。競合エリアでの取材でも、常に建物近くに身体を寄せるなどの防護策が必要かも知れません。
同行していた佐藤さんは山本さんが自分の後に続いて逃げていると信じていたのでしょう。ベトナム戦争でこれと同じ状況を体験した米軍兵士がいて、彼はその後何十年も後悔の念に呵まれたと言います。彼は命令を受けて陣地の外に塹壕を掘って警戒につき、接近した敵に銃撃をくわえて、部下に合図して陣地へ駆け戻ったところ、部下は後ろにおらず、あとで塹壕の中で死んでいるのが発見されたというものです。こうした精神的なダメージから逃れるには、誰かが当事者に「あなたはベストを尽くしたのだ。これ以上のことは当時できなかった」と納得させるしかないのです。こういう話が戦争に関してはとても多いことは常に認識していなければなりません。
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