反政府派がシリア北部の補給路を確保
FNNがシリア北部のアザス(原文ではアーザーズ)に入りました。2週間ほぼ前に政府軍と反体制派の激しい戦闘があり、シリア政府軍は町の中心部まで戦車を展開し、砲撃を繰り返しましたが、反政府派が支配することに成功しました。
military.comによれば、トルコ軍がクルド人の反政府派が国境を渡るという警告に続いて、シリア国境で演習を行いました。装甲車が付随した戦車と地対空ミサイルがキリス州(Kilis province)のオンキュピナール検問所(the Oncupinar crossing・kmzファイルはこちら)が演習のために派遣されました。演習は継続的に行われます。
記事は簡単に紹介しました。しかし、この記事の意味は重大です。
ほぼ同時期、時事通信は「内戦泥沼化、出口見えず=シリア」、JNNは「シリア情勢、打開策ないまま混迷か」と報じました。シリア内戦の物語はまだ始まったばかりです。軍事敵には内戦はまだ初段階と見るべきです。政府軍の大部隊が反政府派に寝返るなどの動きすら、まだ観測されていません。よって、まだ内戦は続くと見るべきです。虐殺があるからといった理由で、軽々に泥沼だとか、打開策がないなんて言うべきではありません。こういう見方は最も無責任な態度であり、日本のメディアの最大の欠点です。冷酷に思えても、過去の内戦の実例を踏まえて、現在の状況を分析すべきなのです。それが戦果を最小限にする方法なのです。
昨日の記事と合わせても、これでトルコ南部の検問所からアレッポまでの補給路がほぼ完成していることが分かります。アザスを反政府派が支配していたことが分かり、メナグ空軍基地も反政府派が攻撃したことから、オンキュピナール検問所からアレッポまでの間に政府軍はいないと考えて差し支えありません。サウジアラビアなどがトルコ南部に用意した拠点からアレッポに向けて、支援物資や武器を運び込める状況になっているのです。これはシリアの北から50kmくらいは反政府派の勢力圏ということを示します。
シリア内戦は泥沼でも、打開策がないわけでもありません。反政府派は着々と態勢を整えつつあります。見るべき次の段階は、北部の反政府派がシリア軍を打ち破って南下をはじめるタイミングです。
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