シリア反政府派がアレッポで攻勢
military.comよれば、金曜日にシリアのアレッポで激しい戦闘が報告され、政府軍に対して反政府派は新しい軍事戦術をとったと言いました。
反政府派の「The Syrian Observatory for Human Rights」は、反政府派がアル・ザーラ(al-Zahraa)の治安関係機関のビルを攻撃した後で、ハナノ(Hanano)、バスタン・アル・カスル(Bustan al-Qasr)、サラハディン(Salaheddin)が砲撃されたと言いました。砲撃は民間人の地域と臨時の病院を狙いました。自由シリア軍のアブ・オマル(Abu Omar)は「我々は新しい軍事戦術を採用しており、それは木曜日に大きな成功を収めたことを証明しましたし、我々は政府軍の航空機の撃墜も成し遂げました」。
政府軍はヘリコプターとジェット機を使った反政府派の拠点に対する空爆に依存しているので、オマルは反政府派が我が軍と国民を攻撃するそれぞれの航空機を破壊するために「『北の火山(the Volcano of the North)』という新しい軍事作戦を決断しましたた」と言いました。彼はアレッポの反政府派が木曜日に地歩を占め、政府軍はサラハディン地区付近から撤退したと言いました。
一方で来月、国連安全保障理事会の議長を務めるドイツはシリアをさらに孤立させたいと言いました。国連はシリアの人道的な状況が悪化し、229,000人のシリア人がトルコ、イラク、レバノン、ヨルダンで難民として登録されたと言いました。スウェーデンは金曜日にシリアの難民を支援するために370万ドルを国連難民機関に提供したと言いました。赤十字国際委員会(ICRC)は金曜日に、シリアの多くの地域の状況が不可逆的な悪化へ向けてジリジリと進んでいると言いました。「国民は一日中命の危険を恐れています」と赤十字のシリア代表団の長、リアンヌ・ガッサー(Marianne Gasser)は言いました。「民間人が基本的な必需品を手に入れることがより難しくなったため、人道支援は急激に必要とされています。物品が国土の一部で手に入らず、暴力が物品を手に入れに行くことを妨げています」。2011年3月に反乱が始まってから、アサド政権はICRC以外の国際人道支援グループがシリアで活動することを禁じており、その活動は暴力によって妨げられています。
JNNはシリアのムアレム外相が、フランスやトルコによって示された「国内に人道的な緩衝地帯を作る」という案を「ナンセンスだ」とはねつけたと報じました。「そんなものは内政干渉だからです。フランスの提案は受け入れません」。JNNは「こうした案は、増え続ける難民や避難民に対応する名目で出されているものですが、実際には軍事的な措置を伴うため、現時点では実現は難しいと見られています」と報じました。
反政府派がアレッポで反撃に出たという情報です。アレッポもダマスカスと同じく南側に政府軍基地があり、そこから政府軍が攻撃をしているはずなのです。サラハディン地区はトルコ国境へ抜ける幹線道路に接した地区で、反政府派と政府軍の競合エリアとなっていました(アレッポの戦況地図はこちら)。ここを取り戻しただけでは意味はなく、となりのハムダニヤ地区の軍学校や南部にある数カ所の弾薬庫を奪うことは重要です。特に、アズ・サフィラ(as-Safirah・kmzファイルはこちら)にある化学兵器基地は重要です。アレッポで、敵が来たら逃げて損失を防ぐ戦術を採用していた反政府派が攻勢に出たのは、この地域の政府軍を追い払えると確信したからでしょう。問題は政府軍がここを奪還できるかどうかです。数日の内に奪還できるのなら、アレッポにはまだ十分な政府軍の戦力があることになります。
JNNの報道はそれこそがナンセンスです。民間人の避難地域を作ることは国際人道法(ジュネーブ条約)で認められていることです。内政干渉を理由にすれば何でもできると考えるシリア政府がおかしいのです。それを報道機関が頭から無理と決めつけてどうするのでしょうか。緩衝地帯と呼ぶから軍事問題らしく見えるのですが、国際人道法上はこれは「特別保護地区」「特別保護地帯」と呼ばれていて、設置すべきとされています。ここは中立地帯とされ、どちらの側も武力組織が利用することはできず、避難民が駐留する場所とされるのです。
これから報道の仕事をする者は必ず国際人道法などの国際法を勉強することを義務づけるべきだと思います。これが日本人の国際意識の低さなのであり、一層改善すべき事なのです。政府が日本人ジャーナリストが殺されても文句を言おうとしない理由はここにあります。一度でも外務大臣が記者会見でこうした問題を激しく批判すれば、マスコミの意識も変わるでしょうが、それをしないのが日本の外務省の情けない文化なのですが、それは日本国民の意識の低さから出ているのです。
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