アラブ連盟がシリア国営放送を放送中止
BBCによれば、シリアのアレッポで未明に、バスタン・アル・カスル(Bustan al-Qasr)、マルジェ(Marjeh)、ハナヌ(Hananu)に爆撃が始まり、女性と子供を含む大勢が殺害されました。ある反体制派の活動家はこの朝のアレッポの死者数を54人としました。
一方で、エジプトの新しい指導者、ムハマンド・ムルシ大統領(President Mohammed Mursi)はバシャル・アル・アサド大統領(President Bashar al-Assad)は最近の歴史から教訓を学び、手遅れになる前に退陣しなければならないと言いました。「間違っている時代に正しい手順を踏んではいけません……なぜなら、それは間違った手順になるからです」と彼はカイロで開催されたアラブ外相会議の演説で言いました。また彼は、この地域の4ヶ国(トルコ、サウジアラビア、イラン、エジプト)がシリア危機について話し合うために会談すると言いました。
その後、エジプト人が所有するナイルサット衛星チャンネル(Nilesat satellite channel)はシリア国営テレビと他のシリア政府派のチャンネル、アル・エカバリヤ(al-Ekhbaryah)とアル・ドゥナヤ(al-Dunya)の放送を止めました。ナイルサットの幹部はシリアに関するアラブ連盟のグループが放送を止めるように要請をしてきたと言いました。シリア国営テレビは水曜日の朝早くは放送していましたが、カイロでの大臣会議の後、11時30分頃(GMT)に見られなくなりました。ナイルサットはシリア反政府派のチャンネルを放送し続けました。
トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン首相(Prime Minister, Recep Tayyip Erdogan)は、アサド大統領がシリアの中に「テロリスト州」を作ったと批判しました。
最近トルコに来た難民の多くはアレッポから来ました。反政府派は北部の都市の13地区が水曜日の未明から重爆を受けたと言いました。地域調整委員会はアレッポの54人を含めて全土で水曜日に75人が、火曜日には全土で少なくとも135人が死んだと言いました。
潘基文国連事務総長(UN Secretary General Ban Ki-moon)はシリアに武器を送っている国々をとして批判しました。事務総長は名指ししませんでしたが、ロシアはシリア軍の主要な武器供給国です。米政府当局者もニューヨークタイムスに、イランが軍事物資をイラクの空域を経由して出荷していると言いました。専門家は新聞に空輸がシリアの反政府派が国土や国境を占拠しているにも関わらず、イランが補給品を提供することを可能にしたと言いました。ホワイトハウスはイラクに空中回廊を閉鎖するよう求め、ジョー・バイデン副大統領(Vice-President Joe Biden)は8月にヌーリ・マリキ首相(Prime Minister Nouri Maliki)に電話会談でこの問題を取り上げたと報じられています。イラク政府広報官は、テヘランがマリキ首相に空輸には食品をその他の人道支援物資だけを含めることを確約したと言いました。
アラブ連盟がシリア国営放送の放送中止を決め、反政府派の放送は続けたということは、彼らが一層シリア反政府派への支援態勢を強めたことを意味します。
シリア政府軍への武器供給を止めることは重要です。反政府派も民間機を無差別に撃墜することはできません。誰が乗っているかは、ミサイルを発射する者には分からないからです。イラク政府も上空を通過するだけの航空機に何を積んでいるかを確認できません。そうした航空機はイラク領内の空港に一旦着陸させ、イラクの係官が積荷を確認し、許可した機だけをシリアに向かわせるようにするしか手はありません。そこまでイラクがイランに求められるかは疑問ですし、飛行機の通過を断れるかも疑問です。完全な解決方法はありませんが、できるだけのことはすべきです。
そろそろ、シリア北部に避難地帯を作るよう、シリア政府に圧力をかける時期が来ていると思われます。国外に脱出する余裕のない人を集め、生存を保証する場所を作るべきなのです。そこは国連が管理し、人道支援物資を集積できる場所です。それが無理なら、難民を国外へ脱出させるためのバスの通過をシリア政府が保証することです。国連が運営するバスとその乗り場を攻撃しないことをシリア政府が認め、確約することです。
シリアの通貨は各国通貨に対して下落を続けています。Exchange-Rate.org(シリア ポンド の為替レート)によれば、サウジのリヤルとの交換比率は、昨年10月はシリアポンドの1ポンドに対して0.075リヤルだったのが、現在は0.056リヤルで、25%近く悪化しています。シリア政府はこうして財政的に追い詰められていきます。外国から物資を買うにも、高い買い物を強いられていく訳で、いつか限界が来ます。周囲から退陣を求められる時期は財政的な理由で決まるのです。リビアの場合と違い、シリアでは軍事的に政府軍を打倒することは難しく、アサドのサイフを締め付けることで勝利を得る形になりそうです。
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