太平洋地域の米軍戦力はハワイ集中の方針
military.comによれば、10日に行われた年次会議で、米海兵隊は今後数年でハワイに戦力を増強することになりました。
太平洋司令部のサミュエル・ロックリア海軍大将(Adm. Samuel Locklear)は、ハワイは地域の米軍のバランスを取り直すための中心点だと言いました。インドとその他との新しい軍事関係を築き、米軍の能力を調整する一方で、「それは我々の同盟国との関係の力を維持することに集中します」と彼は言いました。「彼ら(中国)は、同時に5つの戦術戦闘機計画が進行中の、私が知る唯一の国です」と太平洋司令部副指揮官のトーマス・コーナント海兵中将(Marine Lt. Gen. Thomas Conant)は言いました。
約400人がヒルトン・ハワイアン・ビレッジで行われた第12回ハワイ軍事パートナーシップ会議に出席し、500人がロックリア大将の基調演説を聞きました。
約900人の航空海兵隊員が、コブラとヒューイヘリコプター、オスプレイの飛行編隊の一部として、ハワイにやって来るところですと、太平洋海兵隊司令部の指揮官、テリー・ロブリング中将(Lt. Gen. Terry Robling)は言いました。
海兵隊と航空機はすてに到着し始めています。ヒューイ「UH-1Y4」機とスーパーコブラ「AH-1W」5機、約190人の海兵隊員と海軍兵士がカネオヘ湾空軍基地に9月に第367海兵軽攻撃ヘリコプター隊を起動するためにいました。総計で27機のヒューイとコブラが続く2年間で到着することになっています。ロブリング中将は、オスプレイ「MV-22」の2個飛行隊、総計24機が2015年と2016年会計年度に基地にやって来ると言いました。さらに、沖縄から10,000〜11,000人を残して、海兵隊員約8,000人が移動します(4,700〜4,800人がグアムへ。2,700人がハワイへ)。ロブリング中将は環境評価を行っており、「出来るだけ早くに、我々は部隊を移動できます」と言いました。
ハワイの位置の重要性は、戦闘機と爆撃機を発進させられる、ハワイとグアム、アラスカの空軍の戦略的トライアングルで説明されます。日本の安倍晋三総理大臣は12月末に、南シナ海が北京湖になるかもしれないと懸念して、ハワイ、オーストラリア、日本、インドが海路のアクセスを保護するために戦略的ダイヤモンドを作るよう要請しました。
太平洋地域の米空軍指揮官、ハーバード・カーライル大将(Gen. Herbert "Hawk" Carlisle)はF-35が太平洋に配備されると言いました。「我々はまだそれを配備する場所を探しているところです」と彼は言いました。カーライル大将は空軍がこの地域の航空機のローテーションをさらに強化すると言いました。「我々はこの地に新しい基地を建設したり、航空機をずっと多く永久的に派遣するつもりはありません」。そのかわり、空軍はこの地域での能力をアップグレードできます。「だから、オーストラリア、シンガポール、潜在的にはインドネシアやフィリピンであっても、これらすべては我々が活動し、そこを経由して人びとを交代させる場所です」。
議会の軍事委員会の議長、デビッド・ケアリー(David Carey)は、船の退役に従って、サンディエゴに配備される海軍艦船の数は増え、真珠湾では減少すると指摘しました。
記事は一部を紹介しました。
元々、防衛省の説明では、9,000人がグアムに移転するという話でしたが、結局、グアムに行くのは4,700〜4,800人で、2,700人がハワイに行くことになったようです。
これはやはり、下水道のインフラが不足するなどの問題が生じたためでしょう。実弾射撃場も近くに古代の遺構があることで地元から反対意見が出されていました。海兵隊の計画がずさんで、大きく変更される結果となりました。こういういい加減なやり方に、日本は大きく振り回されました。当サイトでも繰り返して説明してきたように、グアムへの移転は計画が遅れ、地元の反対もあって、時間がかかることが明白でした。しかし、国内メディアはグアム移転の報道ばかりしていたと記憶します。そして、それが変更になっても、続報を大して流さないという不思議な傾向があります。
この計画からは、戦力の一部をハワイに移動することで、中国と適当な距離をとり、さらにヘリコプター部隊で地上戦の能力を高め、太平洋地域で戦争が起きた場合の即応戦力を高める狙いがあることが分かります。明らかに、これは中国に対する牽制です。
安倍総理の戦略的ダイヤモンドの話は意味がよく分かりません。インドが南シナ海に大きな権益を持っているとは思えませんから、こういう話に乗るのかが分かりません。それに、ダイヤモンドの形にどんな意味があるのかも分かりません。南シナ海で有事発生の場合、インドやオーストラリア、ハワイから空軍機が飛んでくるような事態を想定しているのでしょうか?。何となく包囲網を作れば中国が驚いて、南シナ海の権益を放棄してくれるという甘い構想にしか見えません。中国がそんな素直な相手なら苦労はいりません。
産経新聞によると、政府関係者の話として、安倍政権は「公海上で日豪いずれかの船舶が攻撃を受けた際に、双方が守る“疑似同盟”を将来的には考えるべきだ」と構想しているようです。これを読んで、なおさら意味が分からなくなりました。船舶が攻撃を受けた場合に相互防衛する条約は、明らかに軍事同盟であり「疑似同盟」などではありません。軍事同盟を結びたいのなら、軍事同盟とはっきり言うべきです。
中国はクリントン国務長官に「ハワイの領有権だって主張できる」と言ったり、ロシアのウラジオストクについても教科書に「不平等条約によって帝政ロシアに奪われた」と書いていることもあって、至るところで、領土を主張しかねない状態になっています。こうした事態にあっては、関係国すべてが結集して中国と対峙した方がよさそうです。そういう発想は安倍総理にはないのかと思いました。
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