フランス大統領がアルジェリアの作戦を称賛

2013.1.20


 BBCによれば、アルジェリア軍が人質犯に対して最終的な攻撃を行い、4日間の籠城で、少なくとも人質23人と犯人32人が死亡しました。

 イギリス人5人は死亡したか行方不明で、ノルウェー人5人が行方不明です。

 フランスのフランソア・オランド大統領(President Francois Hollande)は、アルジェリアの対応を「最適」だったと弁護しました。「こうした冷酷な決心と、彼らがそうしたように人質を殺す準備をしたテロリストにこれほど大勢の人質がとられたとき、私が理解したとおり、アルジェリアは交渉することができなかったので、最も適切な方法をとりました」。

 イギリスのデビッド・キャメロン首相(Prime Minister David Cameron)は「イギリス人1人がすでにこの残酷な攻撃で死亡しており、我々はまた明らかではない5人の声明に最悪の事態を恐れています」「このような方法で無辜の人名を奪うことに正当性はありません。このテロリストの災厄を根絶し、打ち破るための世界中の同盟と鼓舞する人たちを得て、我々の決意はかつてなく一層強くなります」と言いました。

 未確認の報道は、人質犯が即座に7人の人質を、最終的な軍の攻撃で殺される前に殺したと言います。

 日本人14人は行方不明です。安倍晋三総理は人質の消息に関して厳しい情報を受けたと言いました。

 アルジェリアの石油ガス会社、Sonatrach社は、政府軍が武装勢力が設置した地雷を除去していると言いました。

 アルジェリア内務省は、軍が機関銃6丁、散弾銃21丁、60mm迫撃砲2門と砲弾、60mmミサイルと発射機、ロケット弾8個とロケットランチャ−2門、人質から回収した手榴弾10個入りの爆弾ベルトを回収したと言いました。

 武装勢力と接触したANIによれば、人質犯のリーダーはニジェール人のアブドル・ラーマン・アル・ニジリ(Abdul Rahman al-Nigeri)とされます。


 記事は一部を紹介しました。

 結局、救出作戦は終了しておらず、最終的な攻撃が行われて、ようやく決着が着いたということです。詳細も分からず、日本人に対して武装勢力が危害を加えたかや、アルジェリア軍の襲撃で被害を受けたかも分かりません。

 オランド大統領がアルジェリアの作戦を称賛するのは、現在、フランスがマリで武装勢力の掃討作戦を展開している関係上、当然です。口が裂けても、アルジェリア政府がやり過ぎたとは言えません。

 しかし、憲法を改正して、自衛隊を海外に派遣したいと考えている安倍総理の反応には問題があります。テロと戦って、世界から称賛を得たいと常々言っている自民党は、こういう被害は覚悟の上と私は思っていました。日本は中東では比較的評価されている国でしたが、イラク侵攻で自衛隊を派遣して、彼らの心証を害していました。さらに、先進国と共同して第三世界に自衛隊を派遣すれば、その評価はさらに落ち、現地の武装勢力から敵視されるのは当然の成り行きです。そうだとすれば、こうした被害は折り込み済みと考えなければなりません。なのに、どうして結果が「厳しい」と感じたのでしょうか。

 私が自衛隊の海外派遣に反対する理由の1つは、こういうところにあります。「防衛」という言葉の問題点は、それが流血の事態を連想させないことです。正当な理由がある武力行使という意味が、この言葉には暗に込められています。しかし、戦争が暴力行為であることは、古来、軍学者が認めるところであり、それを忘れて戦争について考察することはできないというのが、私の基本的な考え方です。

 特に、武装勢力がいるところに自衛隊を派遣すれば、武装勢力は自衛隊を攻撃しようとして、こちらの動静を探ろうとします。自衛隊も武装勢力の動静を探り、必要なら先制攻撃をするということにしかなりません。それが対武装勢力戦の基本です。自分が現地指揮官なら、先手を打って、武装勢力を撃退しようとしか考えないでしょう。基地の中にこもって、黙っているだけなんて、考えられないことです。目を開き、聞き耳を立て、相手が油断していたら、先手を打つのです。それが武装組織の基本的な考え方です。

 国民の多くは、政府が言う甘い言葉にだまされ、今後、ますます自衛隊の海外派遣に賛成するようになるでしょう。そうすれば何が起きるかは、当サイトで繰り返し紹介しています。米軍が反面教師なのです。米軍に起きることは自衛隊にも起きます。我々は「戦いの神」がなせる業から逃れられないと知るべきなのです。


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