化学兵器禁止機構が地域的、一時的な停戦を要請

2013.10.14


 BBCによれば、化学兵器禁止機構は一部の反政府派が支配する地域で、戦闘が化学兵器施設へのアクセスを妨げていると言いました。

 化学兵器禁止機構の代表、アーメト・ウズムク(Ahmet Uzumcu)は、専門家が作業をするために、地域的、短期的な停戦を要請しました。シリアは月曜日に公式に化学兵器禁止条約に参加しました。

 一方で、日曜日に誘拐された赤十字社職員6人の内、3人が解放されました。彼らと一緒だったシリア人の赤新月社ボランティアも解放されました。解放された人質は全員怪我はありませんでした。誰が彼らを誘拐したかは明らかではありません。

 化学兵器禁止機構と国連は、10月1日以降、60人の専門家と支援スタッフをシリアに置いています。彼らはダマスカスに拠点を置き、施設へ定期的に訪問しています。ウズムク氏は、彼らが望む場所すべてへ連れて行かれ、すでに少なくとも化学兵器を製造する能力を持つ20ヶ所の施設の内、5ヶ所に行ったと言いました。しかし、一部の施設へのルートは反政府派が支配する領域で、アクセスを妨げていると、彼は言いました。「そこは毎日支配者が変わります。これはこの任務を支援し、協力し、この任務を容易にするために、シリアのすべての派閥に訴えるものです。それはすでに試されています」。彼は「過去に、化学兵器使用の疑いを調査した国連主導の任務では、この任務を助ける、4〜5時間の一時的な停戦があった」ことから、停戦を要請したといいました。彼は、一つの放棄された施設が反政府派の支配地域にあり、チームはそこへアクセスすることを望んでいると付け加えました。彼は、土曜日に、迫撃砲弾が彼らが滞在するホテルの隣に着弾し、彼らが行く場所の近くで銃撃戦があったと言いました。訪問地の詳細は公表されませんでした。

 ウズムク氏は、ノーベル賞受賞はチームの士気が高まるのを非常に強く後押ししたと言いました。「彼らは非常に現場で困難な環境の中で作業しています」。


 記事は一部を紹介しました。

 シリア政府が警告したとおりのことが起きたようですが、一ヶ所に関してだけで、大事ではなさそうです。思っていたよりは廃棄活動は順調です。この程度の障害は予想されることです。先のことは分かりませんが、今のところは順調です。

 化学兵器禁止機構がノーベル平和賞を受賞したのは、実績に先んじて受賞させるノーベル平和賞の特徴をよく表しています。オバマ大統領が「核廃絶」を打ち出しただけで受賞したのと同じです。派遣チームの士気が上がるのはよいのですが、これでシリア問題が片付いたと錯覚する人も多いでしょう。シリアが化学兵器を廃棄しても、シリア問題は何も片づきません。むしろ長期化に手を貸した可能性すらあります。それでも、ノーベル平和賞は、成果よりは行動に対して賞を与えるものなのです。率直に言って、シリア人難民キャンプで活動を続ける現場の人たちの方が、ずっと人道支援に貢献していると、私は考えます。そういう意味で、ノーベル平和賞は形骸化する危険もはらんでいます。

 赤十字社職員が一部開放されたことは幸いです。犯人は正体不明ですが、イスラム過激派ではなさそうです。


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