隣国から入国を拒否されるシリア難民

2013.11.1


 BBCによれば、アムネスティ・インターナショナルは、大勢のシリア難民はヨルダン、その他の隣国国境で追い返されていると言います。

 その報告書は、入国を拒否された者たちは、シリアに住んでいた、身分証を持たないパレスチナ、イラク難民を含むと言います。アムネスティは状況は受け入れがたいと言います。

 しかし、ヨルダン当局はシリア難民のために国境を開放していると主張します。ヨルダン政府広報官、モハメッド・アル・モマニ博士(Dr Mohammed al-Momani)は、難民に関するヨルダンの姿勢に変化はないと言いました。「我が国の国境に到着した難民は、国際法と安全を求める人々にそれを提供するというヨルダンの歴史的立場に従い、入国を認められます」。

 現在、200万人以上の難民が人道危機によってシリアから出国しました。大半はレバノン、ヨルダン、トルコ、イラク、エジプトに避難しました。

 BBCのヨーランド・ニール記者(Yolande Knell)は、この調査はヨルダンの規制と組み合わさった戦いが、国境地帯でシリア難民多数を無期限に窮地に陥れていることを強調すると言います。

 「シリアからヨルダンなどへ出国した人たちは、国境の規制が強化されて足止めされています。彼らの多くはすでににすべてを失いました」と、アムネスティの中東・北アフリカ部長のフィリップ・ルーサー(Philip Luther)は言いました。。締め出されている者たちは、ヨルダンに明確に家族のつながりがない、同伴者がいない男性を含み、昨年にはヨルダンに入国を許された難民がシリアにも移送されたとアムネスティは言います。2012年8月、約200人の難民はザータリ(Zaatari)難民キャンプで抗議運動が起きた後でシリアに強制送還されたとされます。アムネスティは、それ以降、多数の個人がシリアに送り返されたことを示す情報を得ていると言います。

 人権団体は、難民が自由に越境できるよう要請していますが、シリアの隣国が難民流入を処理するのを助けるために、国際的な支援が必要だと言います。シリア難民のための国連の支援要請44億ドルはわずか50%を供給されただけで、シリア人を移住させる西欧諸国への要請にはほとんど反応がありませんでした。


 記事は一部を紹介しました。

 military.comが、すでに重要な化学兵器機材の破壊は終わったとの見解を報じていますが、その一方で、難民の問題は悪化する一方です。

 当サイトが主張する問題点の一つは、一般に認識されている軍事的危機と、本来対処すべき危機は異なっている場合が多いということです。

 冷戦中、アメリカではソ連の方がより多くの核ミサイルを持っているという「ミサイル・ギャップ論」が横行し、ジョン・F・ケネディも上院議員時代に、それを主張しました。後年、実際にはアメリカの方が多くのミサイルを持っていたことが明らかになっています。大統領になったケネディは米軍に、核戦争の見積もりを示すように命じ、米軍は最初の第一撃だけで米国民1億5千万人が死亡するとの見方を示したとされます。続く追加の核攻撃や、放射線障害で死亡していく人たちを含めると、人類の生存自体が危機にさらされることを知り、ケネディ大統領は考えを改めました。この認識があったから、彼はキューバ危機を何とか乗り越えられたのです。

 往々にして見られるのは、外国の脅威を言うと、政治家は人気があがるということです。日本では尖閣諸島や竹島に関して、勇ましいことを言う政治家がいますが、彼らの主張を慎重に見れば、結末を見据えていないことが分かります。紛争化して、どこに落着させるかも示さない人物に、紛争を煽る発言をさせることを、国民が許しているのです。

 竹島は韓国軍が占領中ですが、彼らは極右団体が乗り込んできた場合の対処しかしていません。自衛隊が上陸しようとした場合の備えはしていないのです。領土を主張する上で、相手国の武力組織に抵抗する手段を持たないことがあり得るでしょうか?。

 韓国軍が自衛隊相手の想定を立てない理由は簡単です。それを真面目に考えると、あのような小さい島を常駐部隊で守り切ることは不可能であり、戦争計画はたちまち巨大なものとなり、そのような備えを実際に構えることは経済的な利益に合致しないことが分かるからです。

 2003年のイラク侵攻も、ありもしない大量破壊兵器が、その理由とされました。

 我々は何もかも分かっているように振る舞いがちですが、過去の歴史は、人間が数々の軍事的誤りを犯してきたことを示します。人類は繰り返し戦争をしているくせに、そこから何も学ぼうとしていません。

 シリアの化学兵器を破壊すれば、とりあえずは問題が片づくと信じ込んだ国際社会は、この誤りを繰り返しているだけです。人類は本当に愚かなのです。


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