海保と空自機も中国の防空識別圏内を飛行
朝日新聞によれば、自衛隊機と海上保安庁の航空機が、中国の防空識別圏内を中国への通告なしで飛行しましたが、緊急発進(スクランブル)など中国側の反応はありませんでした。
海保は飛行した日時や機数は「運用上支障がある」として明らかにしていませんが、同日以降に通常業務の一環として東シナ海を飛行しました。また、防衛省関係者によると、自衛隊機も従来通りの哨戒活動などを変えておらず、28日までに中国が設定した防空識別圏内を飛行しました。
先に書いたように、というか書いた以上に、中国は防空識別圏に弾性の効いた考え方を持っているようです。予想されたスクランブルは、よほど領空に近寄らない限りは行わないと考えてよいでしょう。
しかし、この記事で困るのは、米政府のように飛行区域の具体的な説明がないことです。さらに、中国軍が明らかにしたように、B-52が飛んだのは尖閣諸島の東200kmの場所です。防空識別圏の東縁という説明もありましたから、大凡の位置は分かります。ところが、単に中国の防空識別圏内という説明だと、どこを飛行したのかがまったく分かりません。仮に、この場所が九州に近い場所なら、さすがに中国もスクランブルはしないかも知れないと考えられます。前回指摘したのは、尖閣諸島の真上を日本機が飛んだとき、中国がどう反応するかという点でした。防空識別圏内のどこを飛んだのかがまったく分からないのは困るのです。
だから、この記事を読んで、防空識別圏内のどこを飛んでもスクランブルはないと考えるのは早計です。
さらに別の面を考えましょう。特定秘密保護法が施行されると、海上保安庁と航空自衛隊の飛行ルートは特定秘密に指定される可能性が高くなります。もしかすると、中国軍が記者会見で明らかにしてしまうかも知れませんが、それでも日本国内では、この情報は秘密にしなければならないことになります。中国軍が発表した内容を報じた場合、秘密を公開したことになるのでしょうか?。中国国防部のホームページに載っていることでも、それを誰かに話したら、秘密の暴露になるのかもしれません。
そんな馬鹿なと思うかも知れませんが、こういう話があります。日本政府は日本の情報収集衛星の軌道データを公表していませんが、米国宇宙科学データセンターなどからは公表されているという矛盾が現在でも存在します。多分、情報収集衛星の軌道データは特定秘密に指定されるでしょう。インターネットで検索できる情報でも特定秘密にできる可能性があるのです。
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