シリア内戦に2ダースのアメリカ人が参加

2013.12.3


 military.comによれば、シリア内戦にアメリカ人が参加しており、彼らはアルカイダ系グループにより急進的になり、治安上のリスクを抱えて帰国する可能性があります。

 国務省は、何人のアメリカ人がアサド政権と戦うために武器を取ったかは見積もりがないと言います。イギリスのIHジェーン社とロンドンの非営利シンクタンクの専門家による別の見積もりは、アメリカ人の人数は2ダースとしています。IHSグループはアルカイダ系戦闘員を約15,000人、反アサド軍は100,000人以上としています。

 今年、少なくとも3人のアメリカ人が、米政府がテロ組織とするアル・ヌスラ戦線(Jabhat al-Nusrah)と共闘する計画を立てて起訴されました。最も最新の事件では、パキスタン生まれのノースカロライナ州の男性がレバノンに向かう途中で逮捕されました。

 今月、上院国土安全保障公聴会で、トーマス・カーパー上院議員(Sen. Thomas Carper・民主党・デラウェア州施選出)は「我々はカナダ人、ヨーロッパ人と共に米国民がシリア、イエメン、ソマリアで武器を取っていることを知っています。これらの個人が攻撃を行うために帰国するという脅威は現実であり、難題です」と言いました。

 公聴会は、FBIとその他の当局者がバシット・シェイク(Basit Sheikh・29歳)をアル・ヌスラ戦線に加わる途中で、ローリー・ダラム国際空港で逮捕した約2週間後に行われました。シェイクは合法的な米国民で、11月2日に逮捕される5年前は、静かに、犯罪記録はなく、ローリー郊外に住んでいました。類似する逮捕は4月にシカゴでありました。9月には、バージニア州当局は過激派と共闘しようとしたとして起訴された陸軍退役兵を非公開の司法取引の後で釈放しました。

 8月に、元FBI長官ロバート・ミューラー(Robert Mueller)はABCニュースで、シリアで戦うアメリカ人について、まず彼らが結ぶ連携、第2には彼らが身につける専門知識、そして、彼らが連携を統一し、専門知識を統一し、祖国で攻撃を行うかどうかについて懸念を表明しました。

 現在のFBI長官、ジェームズ・コメイ(James Comey)は今月、彼はシリアが1980年代のアフガニスタンが、ソ連侵攻後、外国人戦闘員が訓練するために引き付けたことを繰り返さないかを心配していると言いました。FBIはアメリカ人がシリアへ向かうのを止めるために活動を増やすために捜査員に命じたかを言うことを拒否しました。

 シェイクの事例では、ノースカロライナ州はテロ活動の温床とは考えられません。しかし、ロンドンに拠点を置く「the International Centre for the Study of Radicalisation」と「the Washington Institute for Near East Policy」のアーロン・ゼリン(Aaron Zelin)は、シェイクはイエメンで無人攻撃に殺された、英語版アルカイダ誌の編集者、サミル・カーン(Samir Khan)の居住地から約3時間の場所に住んでいたと言いました。

 シェイクは国務省がテロ組織と宣言したグループを支援しようとして起訴されました。他国の国籍も持つアメリカ人がその国の軍隊で戦うことは違法ではありません。しかし、アメリカの市民権はアメリカと敵対する外国軍に志願することで喪失します。

 今年5ヶ月間、シェイクは彼がアサドの軍隊と戦う過激派武装勢力への支援を表明するフェイスブックにメッセージとビデオを投稿するときに監視されていたことを知りませんでした。8月、シェイクはFBIの覆面捜査官が行ったイスラム過激主義を促進する投稿にコメントしました。2人はオンラインで関係を強めました。シェイクはシリアへ行き、補給、管理、医薬品の部隊へ参加する計画を打ち明けました。後日、シェイクは彼をシリアへ連れて行く人と接触することを願い、トルコへの片道キップを買ったと言いました。シェイクは両親を離れる力を奮い起こせないために、渡航を取りやめたと言いました。シェイクは昨年、シリアで戦うことを願ってトルコへ旅行しましたが、アメリカが支援する自由シリア軍の一部と主張する人たちとの経験を通じて意気消沈するようになりました。シェイクがアル・ヌスラ戦線をオンラインで支援し、戦争地域へ向かうことへの関心を表明した後、FBI捜査員はシェイクにそのグループの人たちと接触するよう提案しました。シェイクは接触し、アル・ヌスラ戦線は反アサドの最も統率がとれたグループだと言いました。「俺は恐くない」とシェイクは書きました。「俺は準備ができた」。

 シェイクの連邦公選弁護人2人は地元裁判所の習慣で事件について話すことを禁じられています。シェイクの父親ジャブド・シェイク(Javed Sheikh)は、息子は不正に訴えられたが、裁判所に真相究明を任せると言いました。

 連邦地裁判事は、保釈金で釈放すれば逃亡し、彼を自由にすればコミュニティに深刻な危険がある明白な証拠があるため、シェイクは裁判まで拘束されると決定しました。シェイクの罪状認否手続きは1月の予定です。有罪なら、彼は禁固15年と25万ドルの罰金を科せられる可能性があります。


 重要な記事かと思って読みましたが、何とも言いがたい内容でした。少なくとも、シェイクはあまり大きな戦力にはなりそうにありません。躊躇ばかりして行動を遅らせた彼に、大きなテロ攻撃はできないでしょう。単なる夢想家にしか見えません。本当に頭がよければ、フェイスブックに投稿はしないし、誰かに相談もせず、単独で行動したでしょう。

 しかし、時として、こうした者たちが大規模なテロ攻撃を成功させるときがあります。ロンドンの地下鉄爆破事件が典型です。彼らが接触するのを察知し損ねると、攻撃を阻止するのはほとんど不可能になります。むしろ、シェイクみたいな「あまちゃん」よりも、専門知識を身につけた米軍の退役兵こそ危険と言えます。

 見方を変えると、自国への脅威ばかり気にする考え方も賛成できません。アメリカはしばしば、ここにばかり注目します。もっと広い視点で、世界の歴史を作ることを考えなければなりません。イスラム過激主義はアメリカ国内にすらシンパを生み出すほど共感を得ているのです。伝統的なアメリカの価値観が、対テロ戦争以降、陰りを見せている点にも気が付くべきでしょう。



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