シリア反政府派が国内最大の発電所を占領
BBCによれば、シリアの反政府派は、国内最大の水力発電所のダブカダム(the Tabqa dam・kmzファイルはこちら)の支配権を手にしました。
人権活動家と反政府グループは、戦士たちがラッカ州(Raqa)の北部にあるダムの出入口を手中にしたと言いました。報告はユーフラテス川のダムが稼働したままだと言いました。
人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights」は、イスラム戦士が現在、タブカダムを支配していると言いました。この施設は電気のほとんどをアレッポ市へ送電しています。同団体の理事、ラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)は「反政府派はダムの支配を手にしました。それはまだ稼働中です。彼らは両方の入口を警護していますが、政府が爆撃する恐れがあるので、中に留まることは禁じられています」と言いました。同団体はイスラム戦士はタブカ市街の3つの地区も支配したと言いました。そこにはダムの従業員と家族が暮らしています。
反政府派指導者は、政府が和平交渉に応じなかったことを非難しました。モアズ・アル・カティブ(Moaz al-Khatib)は、政府の対応は世界に「とてもネガティブな」メッセージを送ると言いました。
金曜日にシリアのオムラン・アル・ゾウビ情報大臣(Information Minister Omran al-Zohbi)は、政府は前提条件を調整することなく反政府派と対話する用意ができていると言いました。「我々は対話の問題に対して真剣です」「(しかし)対話について話すとき、それは前提条件のない対話を意味します。それは誰も除外しません」。
トルコ側で起きた爆弾事件は詳細が不明なので省略しました。
昨年11月末、ダブカダムの上流にあるティシェレンダムも反政府派に占領されたと報じられました。
タブカダムは衛星写真でも容易に確認できるほど巨大なダムです(高さ60m 長さ4.5km 基礎部分512 m)。分厚いコンクリートで造られているので、爆撃でも容易には破壊できないでしょう。破壊するのなら送電装置でしょうが、そうすると政府軍も電力を利用できなくなりますし、多数のシリア国民がさらに苦境に立たされます。
ダム占領に際して、戦闘があったとは書かれていません。ティシェレンダムについても、政府軍がダムを防衛して激しく戦ったとは報じられていません。実際どうだったのかが気になりますが、こうした重要施設を守る戦力はすでになくなっているのかも知れません。ダムからアレッポへ至る幹線道路も、多分、大半は反政府派の支配地域でしょうから、北部や北東部は反政府派の領域と考えてよさそうです。
反乱の形はどんどん反政府派に有利になっています。このままシリア政府への圧力をかける方が和平交渉よりは効果がある感じがします。反政府派の和平交渉が拒否されたのは、前に説明したように、当然のことです。和平交渉は負けている側が持ち出すことというのが戦いの世界では常識であり、勝っている側は負けている側が用意するテーブルに着く気はないのです。実際にはシリア政府は負けつつあるのですが、それを認める気はないということです。ゾウビ情報大臣の話は真に受ける必要はありません。これまでシリア政府は自分が選んだ相手としか交渉してこなかったのですから。
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