日本国民も危機管理が分かっていない
JNNによれば、安倍内閣の支持率が先月から大幅に増えました。
安倍内閣を「支持できる」とした人は先月より9.2ポイント増え76.1%。一方「支持できない」と答えた人は22.9%でした。
この間に起きた問題に対する政府の対応について聞いたところ、アルジェリアでの人質事件については65%の人が「評価できる」と答え、中国海軍による海上自衛隊の護衛艦への射撃用レーダーの照射問題については、80%が「評価できる」と答えました。
このうち中国海軍によるレーダー照射問題については、護衛艦へのレーダー照射について、防衛大臣への報告が発生から6日後だったことについては66%の人が「疑いの段階で報告すべきだった」と答え、「事実を確認してからの報告でよい」の29%を大きく上回りました。この問題をめぐり中国側は日本政府が危機をあおっていると主張していますが、そうは思わないと考える人が88%に達しました。
安倍総理の支持率が増加したという記事の内容を見て、私は驚きました。国民はこの程度の感覚でしか安全保障問題を考えていないのだと思うと、先行きが不安になります。
アルジェリアの人質事件に関して、私は先に安倍総理の対応はまったく評価できないと書きました(関連記事はこちら)。しかし、かなりの人はそれで満足しているのです。問題の内容はすでに書いたので繰り返しませんが、問題の多い対応だったことは完全に見落とされています。野党がこれを国会の場で追求したとは、現段階までには聞いていません。
結局、自衛隊による救出を合法化する話だけが残りました。事件後、アルジェリアの閣僚が明言したように、植民地時代を経験したアルジェリアは、貴重な独立の権利を守るために、いかなることがあっても、外国軍の入国を認めません。つまり、自衛隊法を改正しても、アルジェリアに自衛隊の救援部隊は派遣できないのです。なればこそ、安倍総理はアルジェリア大統領を電話で叱責するようなことはすべきではありませんでした。
さらに、中国海軍による射撃用レーダー照射については、まだ結果らしいものも出ていないのに、80%もの人が支持を表明したと言います。 防衛大臣が公表を検討しているという証拠もまだ開示されておらず、当然、それに対する中国の反応も結果として出ていません。それなのに、これほど多くの人が、この段階で支持を表明したというのは、明らかに問題を理解していないのです。この問題は尖閣諸島が原因であり、長期的問題と考えなければなりません。
この調子でいくと、今後そう遠くない未来に、日本は安全保障問題で大きな間違いをやりかねないと、私は考えます。
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