シリア政府が武装グループとの対話を認める?

2013.2.26


 alarabiya.netによれば、シリア政府のワリド・アル・ミュアレム外務大臣(Foreign Minister Walid al-Muallem)は、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣(Foreign Minister Sergei Lavrov)との会議の冒頭で、シリア政府は武装グループを含むすべての党派と対話する用意があると言いました。

 「私たちは、武装している者を含め、対話を望む者たちすべてと対話する用意があります」とミュアレム大臣はモスクワで言いました。

 反政府派のシリア国家評議会は、内戦を終わらせるために和平協定を交渉したいとしながらも、バシャル・アル・アサド大統領(President Bashar al-Assad)は退陣し、いかなる和解にも参加できないと言いました。ロシアは反政府派と体制側に、直接交渉の要請を再開し、軍事的勝利はシリアを破壊する恐れがあると警告しました。

 「我々は、武器を持つ者を含めて、対話を望む者すべてと対話する用意があります」とミュアレム外務大臣はラブロフ大臣との会談の中で発言し、反政府派について言及したとみられます。「我々はシリアの問題に平和的解決があると信じます」とミュアレム大臣は言い、国外と国内の反政府派両方と交渉する連立政府の創設を示しました。

 ラブロフ外務大臣はミュアレム大臣の横で、対話を通じて2年間の紛争を収めるための、これに替わる政治的な解決はないと言いました。「政府と反政府派の立場を合意することを通じて、政治的解決を達成する、受け入れられる別の政治的解決はありません」と彼は言いました。「シリア国民は国外の干渉なしに、自分たちの運命を決めなければなりません」。ラブロフは、シリアの情勢は十字路上にあると付け加えならがも、交渉による解決を見つけられると楽観視しました。「国家と社会の崩壊のもらたしかねない、さらなる流血をはじめた者たちがいます」「しかし、政治的な解決に達するために、出来るだけ早くに交渉を始める必要に気が付き始めた分別のある勢力もあります」「そうした現実路線を支持する人たちの数は増えつつあります」とラブロフ大臣は言いました。彼は勝利を収めた結末に向かって戦おうとする側には提案はなく、アサド政権に彼が挑発と呼ぶものに取り憑かれないように警告しました。「シリア指導層が勝利を得るために挑発を許さない必要が何倍にも増しています」と彼は言いました。ラブロフ大臣は先週、対話への新しい意志について、両者から積極的な徴候はないと言いましたが、アサド政権に対話を行動へ移すための準備に関して、たびたび使われる言葉を変更するように要請しました。要請しました。


 記事は一部を紹介しました。

 率直に言って、直ちには信じられないという気持ちです。ロシアの後押しで、シリアがこの機会を時間稼ぎに利用しているだけかも知れません。もし本気なら、これはシリア政府も事態を深刻視しており、最悪の事態を避けたいと考え始めた証拠です。

 これまで何度も指摘しているように、シリア政府がギブアップしてくれれば、これ以上の幸運はありません。アサド大統領の出国を認める代わりに、政府軍の武装解除を行うという線しかないわけですが、アサド大統領は国際司法裁判所がほっておかないでしょう。大統領側としては、それも避けたいわけですから、その辺で話が頓挫する可能性もあります。

 この話はまだ浮上したばかりです。今後、どう展開するかに注目するしかありません。ロシアもほっておくと、新生シリアでのビジネスが難しくなるので、調停に乗り出したのであり、その点も注意が必要です。ミュアレム外務大臣は決まり文句を口にしただけで、具体的な提案はまだ述べていません。単に、ロシアの関心をつなぎとめるためだけの発言かも知れません。

 しかし本心なら、これはこの内乱を終わらせるきっかけとなります。最後はアサド大統領が、身を捨てて国を救う決意をするかどうかということになるのかも知れません。当面、この件には中もが必要です。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.