連邦議員が徴兵制廃止を訴え
military.comによれば、米連邦議員2人が選抜徴兵制を廃止するための運動を行っています。
ピーター・デファジオ下院議員(Reps. Peter DeFazio・民主党・オレゴン州)とマイク・コフマン下院議員(Rep. Mike Coffman・共和党・コロラド州)は、徴兵制の準備をするために毎年大金を使うのは無駄だと言います。彼らは国防総省には志願制の軍隊が成功したために、徴兵制に戻ることに関心はないと言います。
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選抜徴兵制は2,400万ドルの予算とフルタイムの職員130人を要します。約1,700万人の徴兵される可能性がある男性のデータベースを持ちます。徴兵制が実施されると、徴兵局は徴兵除外か延期を決定する地域の徴兵委員会で働く約11,000人の志願者を動員します。
徴兵局のローレンス・ロモ局長(Lawrence Romo)は、選抜徴兵制は「安価な保険証書」であり、「我々は本当の緊急事態への本当の支援です」と言いました。
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18〜25歳の男性は登録する必要があり、インターネットや郵便でそうすることができます。選抜徴兵制に登録しない者たちは重罪で起訴されることがあります。司法省は19886年以降、この罪で誰も起訴していません。
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それでも他の結果もあり得ます。登録しない者は大学へ通う財政援助を受けられず、連邦政府への就職を拒否され、市民権を失うことを意味するかも知れません。
デファジオ下院議員は徴兵の可能性がほとんどない時に、登録しない男性を罰すると脅すのは意味がないと言います。
議会には選抜徴兵制を止めることは国家安全保障を弱く見せると心配する議員が多すぎるため、徴兵局を廃止しようとする過去の試みは失敗したとデファジオ下院議員は言いました。「議会のチキンホーク(徴兵逃れのタカ派)を除いて、廃止を望む者はいないのです」とデファジオ下院議員は言います。
実現する可能性は低いものの、こうした動きは常に起こり得るものです。
先進国同士の戦争が考えにくい現状では、徴兵制が必要なほど、大勢を動員する必要はほとんどありません。そのために年間日本円にして220億円も使っているのです。志願制でも湾岸戦争に必要な人員を用意することはできた訳ですから、徴兵制はなくても問題はないと考えることは可能なのです。
一方で、完全に徴兵制を廃止すると、大軍が必要になった時に対応できないという心配があります。その時になって、制度を復活させるのは大変だから、平時から用意しておくのだという考え方があるからです。
兵役という嫌な役目は国民が公平に分担すべきだという意見もあるでしょう。しかし、ちょっと頭を使えば、徴兵を逃れられることはよく知られています。神学校に通っていれば、徴兵されないことは、以前に当サイトでも紹介しました。どんな法律にもある例外をうまく使えばよいのです。金持ちの子供が、こうした抜け道を利用して、徴兵を逃れていることは有名です。先の大統領選挙の候補者、ミット・ロムニーはそうしたチキンホークの一人でした。
多分、この議論は、アメリカ国内で結論を出せない問題として、延々と続けられるでしょう。
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