元海軍シールズ最高狙撃手が殺害される

　military.comによれば、元海軍シールズ最高の狙撃兵、クリス・カイル（Chris Kyle）がテキサス州のリゾート施設の射撃場で射殺されました。

　ベストセラー本「American Sniper」の著者のカイルと、彼の友人チャド・リトルフィールド（Chad Littlefield）は元海兵隊員のエディー・レイ・ルース（Eddie Ray Routh）に撃たれました。

　カイルは４度のイラク派遣の後、2009年に海軍を退役しました。彼は2011年末に非営利団体「FITCO Cares」を創設し、翌年の春に非営利団体の資格を取得しました。この団体は肉体的、心理的に傷ついた退役軍人と退役軍人を失った家族に家庭用のフィットネス機材を提供しました。リトルフィールドは彼の隣人で、トレーニング仲間で、この団体でボランティアをしていました。カイルとリトルフィールドはPTSDに立ち向かうルースを助けていたところでしたが、どのように彼と接触したのかは不明です。事件時はFITCOの活動中ではありませんでした。

　郡保安官トミー・ブライアント（Tommy Bryant）は「私の理解では、容疑者は軍隊生活で何らかの精神病にかかっていたらしいということです」と言いました。彼はルースの母親が息子を助けるためにカイルに接触しようとしたのかも知れないと言いました。「我々はカイル氏が人々を援助する何らかのセラピーのために射撃場にいたのかも知れないと考えています」。ブライアント保安官は、ルースが何か薬物を服用していたかや、PTSDと診断されていたかについては承知していません。

　当局は３人の男がフォートワース南西にあるラフクリークロッジ（Rough Creek Lodge・kmzファイルはこちら）に土曜日の午後３時15分に到着したと言います。狩猟ガイドがカイルとリトルフィールドの死体を５時頃発見して、911に通報しました。ルースはカイルのピックアップで立ち去り、ミッドロージアンにある女性の兄妹のところへ行ったと報じられています。彼は何をしたかを話して立ち去りました。彼女は警察に通報し、ルースは結局、ランカスターにある自宅で見つかりました。短い追跡の後で、彼は逮捕されました。

　ルースは300万ドルの保釈金で郡刑務所に拘留されました。当局は、彼が裁判所が任命する弁護士を要求すると考えています。日曜日、彼の家への電話には答えがありませんでした。

　カイルは警備訓練会社「Craft International」の社長でもあります。同社は2,950ドルで民間人の訓練「ラフクリークロッジ・シュートアウト！」をラフクリークロッジで３月１〜３日に行うと予定していました。価格には宿泊、食事、射撃訓練を含みます。カイルは「プレシジョンライフル」と呼ばれるファーストクラスを教えることになっていました。

　記事は一部を紹介しました。

　この記事ではルースがPTSDだったかどうかは分からないとしていますが、他の記事を見ると、すでに確認が取れています。

　ラフクリークロッジは、クレー射撃からピストル、ライフルまで様々な銃を撃てる施設を備え、宿泊、スパ、結婚式場、レストラン、釣り、乗馬、狩猟などの施設も備えた総合リゾート施設です。カイルはここを拠点にして、警備会社の営業やボランティア活動を行っていたのです。軍隊で成功し、除隊後の生活でも順調だったわけですが、不幸にして悲惨な最期を遂げました。

　ここでもPTSDの問題が顔を出しています。犯行の動機は本人にも説明できないかも知れません。彼には戦場で怪我をした経験がないかを確認したいと思いました。彼が銃声を聞いて、戦場と現在の区別がつかなくなり、本能的な防御機能が働いて発砲した可能性を連想してしまいます。ルースの軍歴は追跡記事で報じられることになるでしょう。

　それから、これも銃規制に大きな影響を与えることになりそうです。海軍シールズ経験者でも、いきなり撃たれれば防御できないことが証明された形です。学校に警察官を配置すればよいという全米ライフル協会の主張は筋違いです。犯人がわざと目立つ行動をとり、調べに来た警察官を殺し、連絡が取れなくなったのでやってきた相棒の警察官も殺すと、学校に２名の警察官を配置しても、この段階で無防備になってしまいます。警察官が２名でやって来るのなら、さっさと移動して、別の場所から学校に入れば済むだけの話です。学校を完全に防衛するには、常時４名の警察官が必要でしょう。人数を減らしたければ、高い塀を周囲に巡らして、出入口を限定するしかありません。銃が広範に普及していることで、行政が大きな出費を強いられるということを、アメリカ国民は認識しなければなりません。