ロシア、イランがアラブ連盟への加盟を批判

2013.3.28

 BBCによれば、ロシアは反政府派をメンバーに加えるというアラブ連盟の決定を批判しました。

 一方、アサド大統領はシリアの内紛を終わらせるよう新興「BRICS」5ヶ国に依頼しました。南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領(President Jacob Zuma)への書簡で、アサド大統領はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカはこの危機への政治的解決を促進しなければならないと言いました。

 アラブ連盟の決定はロシア外務省広報官、アレクサンドラ・ルカシェヴィッチ(Aleksandr Lukashevich)から厳しい言葉の反応を受けました。「我々は、残なんなことに、シリア国民の傷みと苦しみを顧みずに、軍事的解決に賭け続ける軍事力の広範な奨励について話をしています。それは日に日に大きくなっています」「国際法に関して、アラブ連盟がシリアに関してなした決定は違法で、無効です。シリア・アラブ共和国政府は国連加盟国の合法的代表権を持っているからです」と、彼は水曜日に言いました。テヘランもモスクワと同じことを言い、アラブ連盟の動きを批判しました。「アラブ連盟に国民の支持を受けていない者たちにシリアの席を与えることは、アラブ世界に危険な行為のパターンを確立します」と、通信社「Isna」は、ホセイン・アミル・アブドラヒアン副大臣(deputy foreign minister Hossein Amir Abdullahian)の言葉を引用しました。「こうした行動はこの地域の組織的な役割を終わらせるでしょう」。

 ダマスカスでは、アサド大統領が南アフリカのダーバンで自前のサミットを開き、シリアの暴力を終わらせるようBRICS諸国に要請しました。アサド大統領はズマ大統領への書簡で「私はBRICSの指導者たちに、政治的解決の成功を保証するため、シリアの暴力を即時停止するように一緒に活動するように要請します」「今日の乱れた世界に平和、安全、正義をもたらすよう模索するみなさんは、シリア国民の苦しみを終えることに関して活動を集中しなければなりません」と言い、経済制裁が暴力と同じく民間人を傷つけたと付け加えました。

 alarabiya.netによれば、シリアの反政府派は水曜日に、最初の大使館をカタールの首都ドーハに開設しました。

 アラブ諸国と西欧諸国の大使が出席し、反政府派の代表、モアズ・アル・カティブ氏(Moaz Al-Khatib)とカタールのカリダル・アル・アタイヤ氏(Khalidal Al-Atiyah)が大使館の入口でテープカットを行いました。

 alarabiya.netによれば、シリアは国連の化学兵器調査団を受け入れることを承認しました。

 国連の調査団は来週、シリアを訪問し、調査はホムス(Homs)、オタビア(Otaiba)、カーン・アル・アサル(Khan al-Assal)を含みます。

 国連広報官、マーティン・ネシルキィ(Martin Nesirky)は、調査団長のエイク・シェルストーム(Ake Sellstrom)を、軍備縮小と国足安全保障で確固とした背景を持つ洗練された科学者だと呼びました。シェルストームは、1990年代のイラクの化学・生物兵器計画を調査して解体する国連調査団「UNSCOM」の主任調査員でした。また、2001年にイラクに戻って、イラク政府が2003年のアメリカの侵攻前に禁止された武器計画を復活させたという確たる証拠がないことを発見した国連調査団「UNMOVIC」でも活動しました。ネシルキィ広報官は、調査は技術的なもので、犯罪調査ではなく、化学兵器が使われたかどうかを調査し、誰が使用できたかは問わないと言いました。


 「BRICS」への依頼は実らないでしょうが、アサド大統領にとっては、やらなければならないことでした。それは、アラブ連盟の席はともかくも、国連の席を反政府派に渡さないためです。

 国連憲章第2章第4条は「国際連合加盟国となることの承認は、安全保障理事会の勧告に基いて総会の決定によって行われる。」としています。総会での承認は得られるでしょうが、ロシアと中国が参加している安全保障理事会での承認は、現段階では無理です。この2ヶ国が拒否権を発動するよう求めるのが、この会合の目的です。単に2ヶ国に依頼するよりは、公の活動としておくことで、活動を一層確実にできます。

 とはいえ、流れはすでに反政府側に来ています。しかし、ロシアと中国が拒否権を発動し得ないようにするには、シリア軍を完全に倒さなければなりません。アサド大統領はそこに賭けているのでしょう。


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