北朝鮮が韓国と「戦時状況」の意味は

2013.3.30

 28日に紹介した、対上陸演習の写真の捏造を指摘したアトランティック誌に、そのほかの北朝鮮の写真33枚が掲載されました。(記事はこちら

 その1番目の写真に映っている装置が気になりました。金正恩が将校から、その装置の説明を受けています。装置にはパソコンのキーボードとトラックボールがあり、トグルスイッチも並んでいます。この機械に接続されていると思われる小さなレーダーアンテナも見えますが、これが東宝特撮映画に出てきそうな感じのレトロな形です。装置には大きなキャスターがついていて、屋内で使うことを想定しているようです。電源ケーブルの他に同軸ケーブルらしいのが2本つなかってもいます。これが何の装置なのかが分かりませんが、第一印象ではひどく陳腐な感じがします。

 25番の写真は、試作品らしい戦闘車両の射撃統制装置を示しています。形状からして、洗練されたハイテク装置のようですが、北朝鮮がこうした装置を独自に開発したとは思えないので、多分、模型でしょう。

 聯合ニュースによれば、今朝、北朝鮮は「政府・政党・団体特別声明」として、「今から北南(南北)関係は戦時状況に入り、北南間で提起される全ての問題は戦時に準じて処理される」という不思議な声明を出しました。

 戦時状況とはなにを意味するのでしょうか。戦争をするのなら、単に戦争をはじめると言えばよいだけです。「北南間で提起される全ての問題は戦時に準じて処理される」との表現も意味不明です。戦争中にはあらゆる国家間の交流は途絶します。捕虜については、赤十字社や第三国を経由して連絡がかわされます。関係自体がなくなるのに、北朝鮮は戦争中にもそれが続くと思っているのでしょうか。「戦時に準じて」ということは「戦時として」とは違う、本当の戦時よりは一段平時に近い態勢のようにも受け取れます。ここまで言って、開城工業団地が稼動中ということはあり得ません。28日まで、工業団地が動いていたことは確認できています。現状はどうなのかを知りたいところです。


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