バイデン副大統領がシリア介入を否定
BBCによれば、シリア軍は反政府派が制圧したラッカ(Raqqa)を空爆しました。
人権活動家は少なくとも反政府派と民間人20人、人数不明の政府軍兵士が新たな闘いの中で死亡しました。月曜日に反政府派は州知事を捕らえました。住民は「街の中心部は軍用機で爆撃されています。私はロケット弾60個を数えました」とある住民は言いました。政府軍が街を奪還するために派遣されたと、シリア議会のシャリフ・シファダ(Sharif Shihada)は言いました。反政府派はラッカのほとんどを支配しましたが、依然として、情報部の建物を含めた抵抗拠点があります。人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights」は、反政府派20人と政府軍兵士数十人が戦いで殺され、民間人は狙撃兵に殺されていると言いました。このほかに空爆による犠牲者があります。
撮影者不明のビデオ映像は、ハーフェズ・アル・アサド前大統領の像を倒した直後に、少なくとも2回の爆発が市中心部で起こるのを示しました。人々はパニックになって逃げだし、あちこち犠牲者が倒れているのが見えます。カメラマンは「軍用機の爆撃だ。神は偉大なり、バシャル(アル・アサド)よりも。負傷者が倒れた」と言うのが聞こえます。
トルコ国境に近いユーフラテス川沿いに位置するラッカは、他の地域から暴力を逃れた何十万人ものシリア人の避難場所でした。一部の住人は、政府軍の報復を避けようとして、反政府に街に入らないように要請しました。
月曜日遅くに、反政府派は州知事、ハッサン・ジャリリの宮殿に向かって戦い、彼とラッカ州のバース党の事務局長、スレイマン・スレイマン(Suleiman Suleiman)を拘束しました。ビデオ映像は歓喜に湧く反政府派に囲まれて2人の男が着席しているのを映しました。「我々全員は政権を追放することを望んでいます」と2人に言う声が聞こえます。人権団体はジャリリは反政府派が捕らえた最高位の人物だと説明しました。同団体は国家治安当局者1人も拘束され、警察高官(昨日報じられた警察本部長のことと思われます)が殺されたと言いました。
military.comによれば、ジョー・バイデン副大統領(Vice President Joe Biden)が月曜日に、シリア内乱にアメリカが戦闘部隊を送る計画がないことを表明しました。
ワシントンでアメリカ・イスラエル公共問題委員会のメンバーの前で演説し、バイデン副大統領は、アサド大統領は国民を残忍に殺したことで、父親と同じく、人命を軽視したと言いました。「この惨劇に対する我々の立場は明白です。アサド派追放されなければなりません」「しかし、我々はダマスカスで血に飢えたギャングを別の者に入れ替えることに参加しようとはしていません」。
バイデン副大統領の前に、パネルの一部として演説したジョン・マケイン上院議員(Sen. John McCain)は正反対のことを言いました。マケインは、より厳しい方針と反政府派の支援を行わないオバマ政権を批判する機会を利用しました。「我々はバシャル・アサドが7〜8万人を虐殺することを許してきました。我々はそれについて何もしていません」とマケイン上院議員は言いました。イランと湾岸諸国からシリアに入った武器は、間違ったグループの手に渡ろうとしています」と彼は言いました。「人道支援は納得がいきません」「興味深いことに、難民キャンプに行くと、その指導者が『マケイン議員、このキャンプにいる、あなたが見た子供たちは、支援を拒む者たちに復讐をしますよ』と言うのです」。
バイデンは月曜日に、政権のシリアでの焦点は。平和的なシリアと平和的な地域を約束する合法的な反政府派を支援することだと言いました。「我々はもちろんアサドの化学・生物兵器がイスラエルとアメリカ、全世界に向けられているという大きな危険を認識しており、これらの兵器の使用と、移動に対する明白なレッドラインを設定しています」
バイデンとマケインは共にイランの核兵器計画について話しました。イスラエルの指導者は定期的に、イランが1年かそこらで核爆弾を所有することになると主張しています。しかし、少なくとも1年間、アメリカとイスラエルの情報当局者は、イランが核兵器計画を持っていることを示す証拠はないと言っています。バイデンもマケインも共に、これについて厳しいメッセージを発しました。
alarabiya.netによれば、ヨルダンのアブドラ2世国王(King Abdullah II)は火曜日に、国家の崩壊を防ぐために、包括的な政権移行をシリア政府に要請しました。
「包括的政権移行だけが派閥抗争を終わらせ、シリアの分裂を避けることができます」とアブドラ国王はトルコのアブドラ・グル大統領(President Abdullah Gul)と一緒の記者会見で言いました。
2年の内紛は7万人の命を奪いました。50万人の難民をヨルダンとトルコに流出させました。100万人の難民と400万の国内難民を助けるために、国連は15億ドルの資金を模索しています。国連難民高等弁務官は50万人の難民を登録し、6月までに100万人(内紛前の人口の4.4%)になると予測しています。
記事は一部を紹介しました。
ラッカはまだ完全に掌握できていないようですが、時間の問題でしょう。高官を拘束したことも重要な戦果です。北部からは政府軍を駆逐できているようですが、依然として、足の長い航空機による攻撃を終わらせられません。
ホムスの戦況は今日は特に報じられていないようです。
シリアに軍事介入しないことをバイデン副大統領が明言したのは賢明でしょう。いまのアメリカにできることは、最大でも空軍の派遣くらいです。地上軍の派遣は論外で、軍事的、政治的にも不利な材料にしかなりません。特に、アメリカが介入しているとシリアが判断すると、化学兵器を使うと宣伝しているアサド政権が行動を起こす危険性があります。すると、人道支援や、最大でも無人偵察機の情報を反政府派に渡すくらいしか手がないということになります。
バイデン副大統領は、シリアに関する方針のバランスをとるために、イランの核兵器問題で強硬な発言をしたように見えます。とかく、弱腰と見られることを、米政権は嫌うものです。
マケイン上院議員の発言は最悪です。確かに、人道的な危機を救えていない点は問題です。だから、武力介入をしますという単純な判断では、国を誤るというものです。戦争は常に最後までの手筋を読んだ上でなければ、いかなる判断もできません。
アブドラ2世国王の要請も、アサド政権は無視するでしょう。武器を捨てた反政府派だけと交渉するというアサド政権に交渉をする気はありません。
内紛を短期間で終わらせるための支援の拡大、長期化を見通した上での大規模な難民への対策こそ検討すべき課題です。
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