米政府はミサイル発射を「テスト」と断定

2013.4.10


 聯合ニュースによれば、北朝鮮が中距離弾道ミサイル「ムスダン」と短距離ミサイル「スカッド」、中距離ミサイル「ノドン」を同時に発射する可能性が指摘されている中、韓国当局が具体的な動きを確認したもようです。

 韓国政府筋は10日、「(朝鮮半島東部の)江原道・元山付近のムスダンだけでなく、(北東部の)咸鏡南道一帯で、これまで見られなかったミサイル発射台付き車両(TEL)4〜5台が新たに識別された」と明らかにしました。これらTELは射程300〜500キロのスカッド、1300〜1500キロのノドンを発射する装備と分析されたとされます。

 CNNによれば、匿名を希望した当局者は、オバマ政権は北朝鮮が民間航空機と商船へ、ミサイルの軌道から離れているように警告する標準の注意を発せずにテスト発射を行うかもしれないと考えていると言いました。

 朝鮮日報によれば、北朝鮮当局は現金輸送車の開城工業団地への立ち入りを一昨日から認めていません。この車は開城工団で働く北朝鮮労働者の賃金を運ぶものです。

 この問題で、ウリ銀行の関係者は「8日と9日に現金輸送車を北朝鮮に行かせようとしたが、北朝鮮が立ち入りを認めなかったため今も足止めを食らっている」「先週までドルを運ぶ車だけは立ち入りを認めるだろうと考えていたが、ほかの車と同様、足止めされてしまった」と述べました。

 開城工団で働く北朝鮮労働者の給与支給日は毎月10日。開城工団の北朝鮮労働者は5万3000人。この労働者たちに支払われる月給は総額およそ800万ドル(約7億9300万円)。労働者1人当たりの給与はおよそ134ドル(約1万3300円)。北朝鮮が開城工団で稼ぎ出す外貨は、北朝鮮の外貨収入全体のおよそ12%。


 CNNの記事には驚きました。「テスト発射」と明確に書いているからです。ということは、TELは地下基地の周辺の打ち上げ場所ではなく、ミサイル実験場にいるのでしょうか。オバマ政権がテスト発射と判断した理由を知りたいと思いました。韓国軍と米軍が、簡単にTELの位置を公表したことも、その可能性を感じさせます。すべての地域で、間違いなくすべてのTELを補足するのはかなり難しく、見つかった分だけを発表しているとは思えないからです。

 そして、これらの情報は、当然、米軍経由で日本政府に入っており、それに基づいてイージス艦の配置を決めているはずです。しかし、そうしていますという発表は日本政府からはなく、昨日の記者会見で小野寺五典防衛大臣は、PAC-3の配備についてすら、「私どもの手の内を示すことにもなります」と述べて、詳しく言いませんでした。日本に北朝鮮のTELの位置を探知する能力がないことは明らかなのに、小野寺大臣は「あくまでも万全の態勢を取っていくということでご理解いただければと思います」と言うだけでした。この程度の情報は公言しても何の問題もありません。演歌の歌詞のように「俺の目をみろ なんにも言うな」で通る話ではありません。「手の内をあかす」として、何でも秘密にする防衛省を信頼したいとは思いません。

 開城工業団地の賃金に関する最新の情報が分かったことは救いになりました。現金輸送車を入れないのは、一時的な措置とみてよさそうです。戦争を考える上で、経済面を考えないわけにはいきません。


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