アサド政権が外国人戦士で首都防衛

2013.4.6


 alarabiya.netによれば、周辺国から来たシーア派戦士が、宗教施設を守り、アサド大統領を守るためにダマスカスに集結しています。

 これら多くの外国人ゲリラは、アブ・アル・ファドル・アル・アバス旅団(Abu al Fadl al-Abbas brigade)の傘下グループの下で活動しています。彼らはイラク、レバノン、イラン、パキスタンから来ています。

 ダマスカスでは、彼らはよそ者ではなく、通りを歩き回り、自由シリア軍と戦ったりします。

 旅団はセヤダ・ジナブ地区(Sayeda Zeinab district)に拠点を置き、12個大隊はアル・ハジャル・アル・アスワド(al-Hajar al-Aswad)とカボウン(Qaboun)に配置されています。

 漏洩した映像はアル・ジョバル(al-Jobar.)でシリア軍の旗の下の旅団隊員が派遣されているのを示します。旅団は、首都周辺の衝突が激化する中、数ヶ月前に編成されました。いまは主にダマスカス南部のセヤダ・ジナブ地区の聖地周辺で戦っています。

 政府軍内の外国人戦士が増える現象は、イスラム法学者で、体制を守ることがイスラム教徒の義務と信じるアフマド・ハッソン(Ahmad Hassoun)の呼びかけのあとに起こりました。


 いよいよ人員不足が、イスラム圏特有の現象を生んだようです。政府軍が外国人義勇兵を受け入れて首都防衛です。

 こうした義勇兵は、とかくやり過ぎるもので、それは自由シリア軍側のイスラム過激派戦士に見られるのと共通しています。「目には目を」式のイスラムの倫理観では、惨劇はより起こりやすくなります。

 ジュネーブ条約と赤十字社創設以来、戦争の惨禍を少しでも減らそうとしてきた努力が、対テロ戦以降、台無しになっていると感じていますが、その影響があちこちで見られるのが最近の傾向です。

 こういう問題は日本ではほとんど意識されていません。日本のマスコミは戦争を自分たちが紙面から遠ざけているから、戦争はどこか遠くの国の話で、自分たちには関係ないと思っています。だから、国民も政治家も誰も問題視しません。戦争の事例に学ぶ姿勢がないと、目の前に戦争が来た時にうまく対処できません。日本のマスコミが海外の事件報道が下手なことは、そういう潜在的危険を増加させていると、私は考えています。


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