勝手に事態の幕引きを図る北朝鮮
4月30日付けのFNNの記事によれば、北朝鮮が弾道ミサイル発射の構えを見せるなど、強く反発していた米韓合同軍事演習が終了しました。
韓国国防省報道官は「米韓の防御的軍事訓練は、きょうで終了するが、北朝鮮の挑発の可能性は、鋭意注視していく」と述べました。今回の演習は、北朝鮮が反発を強める中、アメリカ軍が核兵器が搭載可能なB2ステルス戦略爆撃機などを投入し、異例の緊張状態の中で実施されました。北朝鮮メディアは29日、金正恩第1書記がサッカー場を視察する様子を伝える一方で、30日朝の新聞では、「非核化するのはアメリカが先だ」と強調していますが、これまでのところ、演習の終了について反応は見せていません。
時事通信によると、国務省のベントレル副報道官代理は30日の記者会見で、北朝鮮による挑発行為や緊張の高まりが最近になって「低減している」との見方を示しました。その上で、北朝鮮に対して国際的な義務を履行するという「真剣な意図」を示すよう求めていると強調しました。
ベントレル氏はこの中で、北朝鮮が挑発を抑制していることを「前向きなサインだ」と評価。一方で北朝鮮との対話の可能性については「われわれの目標は検証可能な朝鮮半島の非核化だ」とし、北朝鮮が国際的な義務を果たそうとしていない現時点で必ずしも「近づいた」とはみられないと述べました。
「だだっ子が泣き止んだ」という感じです。
結局、中距離弾道ミサイルどころか、短距離弾道ミサイルすら発射されず、ごく小規模な演習が行われただけでした。
唯一の成果は開城工業団地のカードがまだ北朝鮮の手元にあることです。休業分の給料支払いについて折り合いがつかず、韓国側の責任者7人を足止めし、転んでもただでは起きないと、ごね続けています。韓国側は到底、休業分の支払いには応じられないでしょう。一度支払えば、また同じことを繰り返すとしか思えないからです。
聯合ニュースによると、北朝鮮は3月分賃金、所得税、通信費など800万ドル(約7億7800万円)前後を求めています。ここは長期化しても、辛抱強く交渉するしかないでしょう。北朝鮮も7人に手を出せば、韓国から金を引き出せなくなることは理解しています。
今回の挑発行為は一線を越えたことで、北朝鮮にとっては、次の挑発行為をどうするのかという新しい問題を生みました。ミサイルを発射すると言って撃たなかったのです。次回、同じことをすれば、やはりムスダンは完成していないと自白するようなものです。以前のように、テロ行為に近い武力攻撃をすれば、北朝鮮軍中枢への反撃が予測されるため、そのカードも封じられました。そろそろ、本当に武力対決しないといけない時期に来ています。来年の春の挑発行為では、新しいネタを見つけないと、北朝鮮は有効な脅迫は行えないことになります。次の挑発行為は特に注意して観察する必要があります。
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