シリア反政府派指揮官が兵士の心臓を食べた?

2013.5.15


 BBCによれば、シリアの反政府派が死んだ兵士の心臓を囓るように見えるビデオが、広く批判を浴びています。

 人権団体「Human Rights Watch」は、その武装勢力をホムス出身の有名な武装勢力、アブ・サカル(Abu Sakkar)であると特定し、彼の行為は戦争犯罪だと言いました。シリア反政府連合は彼が調査されると言いました。

 ビデオは独自に確認されていませんが、心臓を切り取るように見えるとのことです。「バシャルの犬である兵士よ。私は、我々がお前の心臓を食べ、肝臓を食べることを神に誓う」と、彼は兵士の死体の傍で見下ろしながら、バシャル・アル・アサド大統領に言及しました。

 「Human Rights Watch」は、アブ・サカルが自由シリア軍のアル・ファルオク旅団の分派、独立オマル・アル・ファルク旅団(the Independent Omar al-Farouq Brigade)の指揮官だと言います。

 人権団体はアブ・サカルが、レバノンのシーア派地域にロケットを撃ち込む前に撮影され、シリア軍と共に戦って殺されたヒズボラのゲリラ兵の死体とポーズを取りました。サカルは重要な指揮官で、現在シリアで起きている最も重要な戦いの一つを担当しています。

 ビデオは日曜日にインターネットに投稿されましたが、タイム誌の記者は4月に映像を最初に見たといいました。タイム紙は火曜日に、アブ・サカルと話し、彼は兵士1人の臓器を噛んだことを認めましたが、外科医はタイム紙に臓器は肺で、心臓や肝臓ではないように見えると言いました。

 反政府連合はアル・ファルク旅団が事件を調査していると言いました。「真実と証明されるなら、シリアの同盟はこうした行為を強く非難します」と連合は言いました。「罪人は誠実で公正な司法官の前で、裁判で審理されます」。


 記事は一部を紹介しました。

 こうした死体損壊に関する行為は、数は少ないものの、戦争でしばしば見られることで、人間はこうした行為を直視し、戦争という非常な行為の産物として批判しなければなりません。

 敵兵や民間人の死体の一部を切り取って、戦利品のように扱う行為は、過去、何度も繰り返し観測されてきました。あるいは、損壊しないまでも、死体におかしなポーズを取らせて、写真を撮るといった行為。死体に排尿するなどの、様々な中たちの事件が起きており、当サイトでも、米軍がイラクに侵攻して以降に起きた事件を何度も取り上げてきました。

 なぜ、こういう行為が起こるのかという疑問には、色々な答えがあります。戦闘は殺人行為であり、日常的にそれを繰り返していると、死体損壊が異常という感覚がなくなります。敵兵を食べることで、自分の力や勇気を誇示できます。お土産感覚で収集する場合。死体から金歯を取って、後で金に換える場合。

 事件の様態は様々で、理由も様々でしょう。それらは個々に詳しく調査し、論じられるべきです。しかし、私にはどの事件にも、根本には、敵に対する憎悪があるように思えます。的は憎むべき存在であり、人権を認める必要もないという考え方です。そうでないと、殺すこともできません。

 この辺に戦争という行為の問題点があります。戦争は人間の悪い部分を増長させてしまいます。橋下徹大阪市長の慰安婦に関する発言が物議を醸していますが、こういう風に、当たり前だからと単純化して戦争に関する問題を語る態度は感心しませんし、無理がありすぎます。今回の事件では、イスラム教の文化の中で、カリバニズムがどう捉えられているのかも考えなければならないでしょう。


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