またシリア反政府派が平和維持軍兵士を誘拐

2013.5.8


 BBCによると、ゴラン高原で国連平和維持軍のフィリピン軍兵士4人が武装勢力に拘束されました。

 シリアの反政府派、ヤルモク殉教旅団(the Martyrs of Yarmouk)は4人の男性を示す写真を発表し、彼らは安全に拘束されていると言いました。殉教団は分離地帯の南部、ヤルモク峡谷に戦闘と重砲撃があったと言いました。

 国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)は非武装地帯を監視するために配置されました。部隊には、オーストラリア、インド、フィリピン、モロッコ、モルドバの917人の軍人がいます。

 国連広報官、ジョセフ・ゲレロ(Josephine Guerrero)は、フィリピン兵は火曜日に、ヨルダン国境から約4kmにある非武装地帯の中、86番陣地の近くをパトロールしている時に誘拐されたと言いました。

 フェイスブックへの投稿で、ヤルモク殉教旅団は、平和維持軍兵士は人質ではないと主張しました。大量配備されたシリア軍部隊は、この地域の犯罪の要素だけでなく、平和維持軍に危険をもたらしたと、旅団は付け加えました。ヤルモク殉教旅団のメンバー、アブ・ライアス・アル・ホーラーニ(Abu Iyas al-Hourani)は後に、スカイプでロイターと話し、「旅団はこの問題が最後の事件のように大げさに騒がれたくないと思っています」「(平和維持軍兵士は)安全で元気です。出来るだけ早くに引き渡されるでしょう」

 国連当局者はAFPに、非武装地帯で政府軍と反政府軍の軍事活動の増加がみられると言い、人権団体「the Observatory for Human Rights」は最近、激しい戦闘があったことを認めました。


 記事は一部を紹介しました。

 「86番陣地」は国連が発行している地図で位置を確認できます(地図はこちら)。Google Earthでそれと思われる建物が見られます(kmzファイルはこちら)。小高い丘の上にある建物がそれです。レバノン側に近い位置にあり、国連軍兵士はこの近くで拘束されたようです。

 繰り返される誘拐の意味がよく分かりません。殉教団は何かの利益を得るために行動しているようではないみたいです。この地域は自分のものだと考え、国連軍が危ないと見て保護しているつもりなのかも知れません。あるいは、国連軍と殉教団が日頃から連絡を取り合っていて、危険な場合に避難させてもらっているという可能性も考えてしまいます。

 公開されたフィリピン兵の写真を見ると、何か変な感じがします。防弾ベストを着ているのに裸足なのです。絨毯を汚さないように靴を脱いだとしても、靴下まで普通は脱がないと思います。フィリピン人はスリッパで歩くのを好み、靴は嫌うという話を聞くので、自発的に靴下を脱いだ可能性もあります。顔の表情は少し緊張しているようなので、やはり拘束されたのかとも思います。強いストレスを受けているようにも見えないので、殉教団の言うとおり、拘束はされたけど、人質ではない状況なのかも知れません。

 問題はゴラン高原での戦況がほとんど分からないことです。政府軍と反政府軍、ヒズボラなどが混在して、戦闘が起きているようなのに、それが分からないために、今回の誘拐事件も意図がつかめないのです。


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