シリア軍がアレッポ攻勢を準備中

2013.6.11

 BBCによれば、シリア軍はアレッポへの攻勢の準備をしています。

 シリア治安筋は、攻勢が数時間あるいは数日の内にはじまると言いました。

 アレッポにいる反政府派の活動家は、ヒズボラを含めた軍の援軍がアレッポの一部分に送られたと言いました。

 シリア軍の急速な前進を見て、米政府は今週、安全保障担当高官を含めた会議で反政府派を武装させることを決定すると米当局者は言いました。国務省広報官は月曜日に、アメリカは反政府派を助け、支援を増やす方法を検討し続けます。大統領は現場に軍を送ることは選択肢にはないと言いました。

 反政府活動家は、政府軍はトルコからの補給路を支配するために、アレッポの南北の郊外で街を奪還する準備をしていると言いました。活動家は最終的な目的はアレッポの中心部を支配することだと言いました。

 政府派の新聞「al-Watan」の記事はそれより先に、政府軍が現在、市内と市外での闘いに備えて、アレッポ近くの郊外に大増員をしていると言いました。「包囲された地域は最初の段階に解放されるでしょう。防御態勢の兵士は攻勢に出るでしょう」「シリア軍はクサイル(Qusair)と(ダマスカス近郊の)と東ゴウタ(Eastern Ghouta)での経験を利用します」。

 シリア治安当局も、次の目標はアレッポであると言いました。「アレッポの戦いは数時間あるいは数日の内に始まるでしょう。戦いはこの州の町と村を奪還する事が目標です」と当局者は言いました。

 作戦は「北の嵐作戦(Operation Northern Storm)」と呼ばれています。


 時間がないので、記事の後半は省略しました。

 どうも信じられないような展開の早さです。クサイルは奪還できても、アレッポまでとは思えません。次に来るのはホムス攻勢と思っていました。

 現場では報道されていない展開が起きているのか、反政府派が急にいなくなったのか分かりませんが、ここ一ヶ月ほどの展開は政府軍側に傾いているようです。

 北部は反政府派が掌握したといっても、実際には、支配地域はパッチワークのようになっているのかも知れません。そういう部分を通じて、北部へ増援を送り込んでいるのでしょう。輸送にはヘリコプターが使われていると書かれています。地対空ミサイルを外国が供与していれば、これらを撃墜することは可能でしょう。対戦車ミサイルが供給されていれば、政府軍の攻勢はかなり防げます。

 アメリカが反政府派への武器支援を行う決定を出す予定で、今週中にその会議を行うことになっています。慌てて日本も支援を行うことを決めたようです。どちらも遅すぎるという印象です。

 まずいことに、飛行禁止区域の話が出かかったところで、トルコで大規模なデモが起こり、現状ではトルコ政府は対外的に大きな政策を打ち出しにくい局面になっています。ここ数日の動きは特に注意しないと、余計に情勢が見えなくなりそうです。


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