オバマ政権はどこまでシリアに踏み込むか?
military.comによれば、シリア内戦に引きずり込まれることを避けようとするオバマ政権は、2003年のイラク侵攻を、中東の紛争に米軍が干渉して失敗する象徴として示しました。
しかし、専門家はホワイトハウスは、不承不承、シリアに飛行禁止区域を設定しようとしているので、イラク戦争に間違った見方をしようとしていると言います。
ホワイトハウスはシリアに飛行禁止区域を設定するかどうかは決定していません。エジプトのモハメッド・モルシ大統領(Mohammed Morsi)は土曜日に、国連に飛行禁止区域を支持するよう要請しました。
デニス・マクダナー参謀長(Denis McDonough)は日曜日にCBSの「Face the Nation」で、「我々は過去にこの地域で戦争をしてきました。ここでそれをしようとはしていません」と言いました。
中東の専門家で、ジョン・ホプキンス大学の「the Johns Hopkins' School of Advanced International Studies」の学部長、ワリー・ナスル(Vali Nasr)は「アサド大統領がこの戦争を完全に支配するのを防ぐために。そして、アサド大統領が手を出せない難民のための避難地帯を作るために飛行禁止区域を作る必要があります」として飛行禁止区域に同意しました。オバマ政権の最初の2年間に国務省高官を務めたナスルは、金曜日のインタビューで、リスクがあるものの「おそらくはリスクは誇張されています。そして、イラクで見られたものはより長期の戦争へ向かう滑りやすい斜面である必要はないということです」と言いました。
反対に、退役したウィリアム・ファロン海軍大将(Navy Adm. William Fallon)は、「行き詰まった中でこれをすることはありません。我々はまさに支援するためにここにいるのです。我々の手を汚そうとはしていません」と言いました。1992年にイラクに飛行禁止区域を執行した元中央軍司令官のファロン大将は、「エスカレーションと任務の拡大を覚悟しておいた方がよいことが問題だと言いました。「あり得る拡大は地上軍に航空支援を提供することです」。
国家安全保障担当副補佐官のベン・ロードス(Ben Rhodes)は、反政府派への支援の種類を説明していません。しかし、軍当局と専門家はおそらく、小火器、対戦車用RPGと弾薬が含まれるだろうと言いました。オバマ政権は防弾服、通信機のような軍用品を反政府派に提供してきました。ロードス副補佐官は、オバマ大統領が飛行禁止区域を設定することを除外していないと言いました。しかし、彼は「国民は、飛行禁止区域に関係する莫大なコストがかかるだけでなく、実行することが難しいだけでなく、シリアの地上でのひどく根深い問題を空から解決するのには時間がかかるということを理解しなければなりません」と言いました。
記事は一部を、主に前半を紹介しました。
オバマ政権はブッシュ政権のイラク侵攻を誤りだと指摘して政権につきました。もし、シリアで同じ誤りを犯せば、それは共和党にとって、格好の批判材料になります。だから、この問題に慎重なのです。
単に軍事的な視点から見れば、支援計画は、シリア軍を打倒するに足る内容にすればよいだけです。そのためには、多少のリスクは覚悟します。しかし、政治の世界はそれだけでは駄目なのです。できれば、この作戦で米軍に犠牲者が出ないことが重要です。
リビアに飛行禁止区域を設定した時、NATO軍の航空機は、積極的にリビア軍を攻撃しました。多分、シリアでは、そこまでの空軍支援は行わないことになるでしょう。リビアの場合、単純にリビア軍だけを相手にしていればよかったのですが、シリアにはヒズボラやイランが関与しています。さらに、ロシアのS-300防空システムが関係している点が、リビア型の空爆を難しくします。このミサイルにNATO軍の航空機が多数撃墜されることになると、各国で戦争反対の声があがりかねません。もし、ロシアと取引ができるなら、お互いに武力を行使せずに済む可能性もあります。問題を大きくせずに、アサド政権を倒す方法が模索されていくことになります。
とりあえず、化学兵器が貯蔵されている場所への攻撃はそれほど問題にはならないでしょう。人口密集地から離れていますし、被害はそこだけに限定されます。ロシアの抗議も、あまり大きくはならないし、それがロシアに交渉の必要性を認識させる効果があるかも知れません。
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