米政府は対シリアオプションを検討中か
alarabiya.netによれば、マーチン・デンプシー統合参謀本部議長(the chairman of the Joint Chiefs of Staff Martin Dempsey)は、バラク・オバマ大統領(President Barack Obama)にシリアへの軍事侵攻について説明したと、木曜日にガーディアン紙は報じました。
デンプシー議長は上院に、軍事オプションは、飛行禁止区域の設定、地上軍の侵攻、アルカイダに対する無人機による攻撃、化学兵器の基地を含めた主要な政府軍施設へのミサイル攻撃が含まれると言いました。
彼はバシャル・アル・アサド大統領(President Bashar al-Assad)が、「現在の流れが彼の側にあると思われる」ために、さらに1年間権力に留まると公聴会で言いました。オバマ大統領は、米政府が介入できるか、介入すべきではないのかを尋ねたと、デンプシー議長は言いました。「この問題は政府機関の中で熟考中です」。
military.comによれば、ジョン・マケイン上院議員(Sen. John McCain)が、上院軍事委員会で、シリア内戦に関して、デンプシー議長と、副議長のジェームズ・ウィンフィールド海軍大将(Navy Adm. James Winnefeld)を批判しました。
記事の中から、戦況に関する部分を紹介します。
「私は穏健派の反政府派を育てることに賛成です」とデンプシー議長は言いました。「それを直接支援するかどうか、動的な攻撃をするかという問題は、選挙で選ばれた公人の決定であり、我が国の軍高官のそれではありません」とデンプシー議長は言いました。
マケイン上院議員は答えに怒り、デンプシー議長に反政府派を武装させるかどうかについて変節したと非難し、将軍が2月にはこの考えを支持し、4月に考えを変え、再びその方法を支持したと言いました。「我々はこのピルエット(つま先旋回のこと)をどう説明しますか?」とマケインは問いました。
「私はピルエットという言葉を受け入れません」とデンプシー議長は言いました。「我々は反政府派について知っていることに基づいて、手法を適応させてきましたし、思い出せば、今年初めには、過激派グループが反政府派の中で優勢だったことが明白だった時期がありました」。
デンプシー議長は、マケイン上院議員に「軍隊の導入によって状況が悪化することがあること」に同意するかを尋ねました。マケイン議員は、大将が2006年に、バグダッドの暴力を沈めるために、約20,000人の兵士をイラクに派遣するかどうかに関する、同様の議論に反対したと言いました。「私は歴史がその増派を支持した者たちが正しく、君のような増派に反対した者たちが間違っていたことを歴史が明らかにすると考えます」とマケインは言いました。
マケイン議員はデンプシー議長に、地域の不安定化がシリア内戦のよい結果なのかと尋ねました。「上院議員、あなたはいくぶん、私をシリア国内で軍隊を用いることをためらっている者として表現しています」「我々は(オバマ大統領と)選択をしました」「この委員会のメンバーはそれらについて、機密の場でブリーフィングを受けました。我々は危険を明瞭に表現しました。軍を使うかどうかの決定は、選挙で選ばれた公人の決定です」。
マケイン議員はデンプシー議長に、彼が公聴会の最初に、尋ねられれば委員会に個人的な見解を提供することに同意したことを思い出させました。「私は君の意見を聞いています」とマケインは言いました。「動的な攻撃についてお尋ねですか?」とデンプシーは聞きました。「この問題は政府内部で熟考中であり、どの種類の部隊を用いるかについて、公に私の意見を言うことで、私が決定に影響を与えようとすることは不適切です」
「特定の状況下だけで、委員会に君の個人的見解を尋ねられた時に提供しないことが君の立場なら、過去30年間、この委員会で働いたことで私が知っているものと矛盾します」と彼は言いました。
記事は一部を紹介しました。
ワシントンでの政治の攻防が報じられたわけです。
アサド大統領が優勢になったことを、米軍も認識していることが確認できました。しかし一方で、アルカイダが今年初めに反政府凪いで優勢だったことは、報道でも認識されていたことです。持っている情報の大勢は同じであることも確認できました。
デンプシー議長が説明した、飛行禁止区域の設定、地上軍の侵攻、アルカイダに対する無人機による攻撃、政府軍施設へのミサイル攻撃は、当サイトでも考えられる選択肢としてあげてきました。地上軍の侵攻は最も選びにくい選択肢ですが、他の事柄はすでに実施していてもおかしくないことです。
それをやらないのは、確実に勝利をつかめるという確証が得られないためでしょう。ロシアが対空ミサイルをシリアに売却したらどうなるか。さらに外国人戦闘員が流入したらどうなるのか。こうした流動的な要素を踏まえても、勝てると確信できない限り、大規模な介入はないでしょう。
多分、現在行っているのは、隣国に亡命した元シリア軍兵士を内戦へ戻して戦力化することです。武器とその訓練だけでなく、補給体制の確立を行い、これらの両面で政府軍を凌駕することです。
外交面では、特にロシアの意向を明確にさせ、反政府派有利に持っていくことです。
これらの条件が整うのは、秋頃かも知れません。この頃に、アメリカの軍事介入がはじまる可能性があると考えてよいでしょう。秋なら、冬の悪天候で、さらにシリア国民の生活環境が悪化するという、説明しやすい大義名分もできます。
マケイン議員の質疑は毎度のことですが、デンプシー議長はうまくかわしたようです。
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