反政府派がイエズス会神父を殺害か

2013.8.15


 alarabiya.netによれば、人権団体「the Syrian Observatory for Human Rights」は、アルカイダ傘下の反政府派が、先月シリア東部で行方不明になったイエズス会の神父を殺害したと言いました。

 シリアの革命と一部のイスラム主義グループの支持者であるパオロ・ダルオグリオ(Paolo Dall'Oglio)は7月29日にラッカ市(Raqqa)で行方不明になりました。2012年までにシリアから追放されるまで、彼は30年間、アビシニア聖モーゼス修道院(the Monastery of Saint Moses the Abyssinian・Deir Mar Musa・kmzファイルはこちら)に貢献しました。その後、彼は少なくとも2回シリアに戻りました。

 人権団体は、ダルオグリオに近いラッカ市の地元活動家が、彼は「イスラム国家とレバント(the Islamic State in Iraq and the Levant)」の戦闘員に拘束されている間に殺されたという言を引用しました。この報告がすぐに確認される可能性はありません。

 人権団体は反政府軍に「イスラム国家とレバント」がダルオグリオの身に起きたことを明らかにし、殺害者には責任を問い、埋葬するために遺体を引き渡すよう求めました。活動家は当初、彼は「イスラム国家とレバント」に誘拐されましたが、ある者はその後、彼はクルド人部隊との休戦に合意するために、アルカイダ傘下の戦闘員に面会したと言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 この事件は戦況には大きな関係がないように見えますが、宗教に関することは、戦争に影響することもあるので取り上げました。

 アビシニア修道院は6世紀に建設がはじまり、19世紀に放棄された、ダマスカスの北80kmにある遺跡です。山岳に建てられた、石造建築物です。ダルオグリオ神父は、この遺跡の修復を行っていました。

 2011年にダルオグリオ神父は、シリアの平和的権限委譲について書き、反政府活動家に会ったり、28歳でホムスで殺害されたキリスト教との映画製作者バセル・シャヘード(Basel Shahade)の葬儀に参加したことから、シリア政府から国外退去命令を出されたことがあります。

 ところが皮肉にも、シリア革命を支持する神父が、反政府派によって殺害された可能性があるわけです。シリア東部はアルカイダ系グループが多い地域で、なぜ彼がここにいたのかは不明ですが、多分、イラク側から入国して、修道院へ行こうとしたのでしょう。


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