マニング上等兵が禁固35年に
military.comによれば、WikiLeaksに機密情報を漏らした件で有罪判決を受けたブラッドレー・マニング上等兵(Pfc. Bradley Manning)に禁固35年が宣告されました。
マニング上等兵が仮釈放の資格を得るには、刑期の3分の1を務めなければなりませんが、裁判を待つための3年半は刑期に含まれるので、10年未満で仮釈放される可能性があります。
マニング上等兵は、1917年のスパイ防止法を含む複数の罪状により、禁固90年になる可能性がありました。検察官は禁固60年以上を求刑しました。判事は弁護団が求めた禁固25年に10年を加算しました。
「Tully Rinckey」法律事務所の弁護士で、軍法務部長の下で働いた退役陸軍大佐のリサ・ウィンザー(Lisa Windsor)は「判決は完璧に適切です」と言いました。「これはいわゆる被害者なき犯罪でしたが、私は国家安全保障を守る限りにおいて、判決は起訴内容に適合しています」。
同じ法律事務所の弁護士で退役海軍大佐のスターリング・デラモス(Sterling DeRamus)は、判事が敵の幇助という、終身刑になる最も思い罪を免除したので、禁固20〜40年を予測しました。「彼らはどでかい弾丸を避けたのです」「支持される公正な判決です」。同時に、判事はこの種の行為が受け入れがたいことを明白にしたと、デラモスは言いました。「彼は長い時間を刑務所で過ごし、承認を得ないで情報を漏らすべきではなく、マスコミとの接触は非常に慎重にすべきというメッセージを人々に送ります」。
マニング上等兵には上訴する選択肢があります。ワシントン軍管区指揮官、ジェフリー・ブキャナン少将(Maj. Gen. Jeffery Buchanan)は、評決と処罰を審査します。少将が不行跡除隊(bad-conduct discharge)、不名誉除隊や禁固1年以上を含んだ処罰を承認するのなら、陸軍刑事控訴裁は自動的に事件を審査します。上訴は軍上訴裁判所、軍最高裁判所、合衆国最高裁判所で行われることもあります。デラモス弁護士はどんな上訴も被告にとって大きな博打となろうと言いました。「私は、軍上訴裁判所や軍最高裁が判事がしたことを問うような、大きな間違いはないと断言します」「これは公正な判決とみなされることになるでしょう」。
記事は一部を紹介しました。
当サイトでは米軍の裁判を繰り返し取り上げていますが、それは米軍の文化を知るために、最も手軽な方法だからです。裁判の様子は報道されますし、結果は大抵の場合は明確です。
現在25歳のマニングは、最も長くて60歳で刑務所を出るか、模範囚として35歳頃に仮釈放となるかを、自分で選択し、実行しなければなりません。10年後にWikiLeaksの評価がどうなっているかは分かりません。イラク・アフガニスタン戦に関して、さらに米軍の悪行が漏洩し、WikiLeaksの評価があがっていれば、マニングも世界に受け入れられるでしょう。ベトナム戦争で「ペンタゴン・ペーパーズ」を暴露したダニエル・エルズバーグのような事例になる可能性です。逆に、WikiLeaksが過去のものになっていれば、彼は忘れられるかも知れません。厳しい刑罰ですが、マニングにも、米軍にも努力目標を課すような判決だという点で、この判決は公正だという評価に落ち着くのでしょう。
それから、極めて重要な情報を大量に漏洩した場合の罪はこれくらいだということを、日本人も記憶しておきましょう。自民党が憲法改正をした後、自衛官(国防軍に昇格しているかも知れませんが)や機密に関与する公務員は、軍事裁判にかけられる可能性があります。
この場合の刑罰は、米軍よりも重くなる可能性があります。自民党の石破茂幹事長は、脱走罪も制定して、最高刑を科すとの意向をテレビ番組で表明しています。脱走罪で死刑になるのですから、機密漏洩も同種の刑罰とされるかも知れません。しかし、民主主義国においては、刑罰の程度はこれくらいなのです。アメリカで脱走罪で死刑が多発されたのは、南北戦争の時です。この戦争では名誉勲章も乱発されたことで知られます。映画『コールド マウンテン』をご覧になった方なら、脱走兵狩りがどんなものかを御存知でしょう。それが将来の日本で復活する訳です。
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